第10話 商業ギルド、王都支部ギルドマスター
あれからまた、数ヶ月が経ち、農地運営は商業ギルドの力を借りて野菜の販売にまで至った...のだけど。
「商業ギルドスタンシアラ王都支部のギルドマスターさんがわざわざお越し下さらなくても...」
「何を仰いますか。クライバート副大臣からの頼みで領内の作物の販売を行いましたが、このような立派で形の良い野菜は滅多にみられません!なのに、9割がそのような物だとは...貴族に対して高値で取引出来る品物ですよ!」
ボクの付け焼き刃の知恵で育てた野菜は大きさも形も良かったらしい。
前世の記憶では、まぁまぁ良いってくらいの野菜なんだけど、この世界では異常。
そして、それは高値で取引出来ると判断して、わざわざギルドマスターがクライバート領まで来たようだった。
お父様は2ヶ月前のボクの誕生日を過ぎると、王都に戻って行ったし、商業ギルドと太いパイプを作るためにはお父様の王都在住が必要不可欠だった。
だけど、わざわざギルドマスターが来てくれたという事は、お父様を通さなくても商業ギルドとのパイプは繋げられるという事。
だから、ボクもしっかりとした対応をしようと思う。慣れないけど、ボクっ娘は封印して、ちゃんと一人称をわたくしにしなきゃ……
「ギルドマスター。申し訳ありませんが、クライバート領で栽培した野菜は高値で売るつもりはありません。」
「何故です?これ程の商品ならば、いくらでも金額は釣り上げられますよ?そうするとクライバート男爵家も安泰ではないですか!」
「そうかもしれませんね。ですが、貧しい人にも食を楽しんで貰いたいのです。貴族の見栄より、スラムでお腹を空かせてる子供。仕事にありつけない人達へ畑という職場を与えたいのです。領内の繁栄は領民がいて元気に過ごせるからこそではないでしょうか?」
「お嬢様?たしか11歳になられたばかりてますよね?」
「はい。年齢がどうかしました?」
「いえ、とても聡明なお考えでギルドマスター...いえ、このクライフ。とても感動致しました!当ギルドを通して、貧しい者にも行き渡るように販売いたします!」
「ありがとうございますわ。」
ここまでは既定路線の話であって、農地を見学したいという目的でギルドマスターがやってきた。
ここからはボクの提案。
「ギルドマスター...ひとつ宜しいでしょうか?」
「えぇ。あと、ギルドマスターは各支部にも、冒険者ギルドにも存在します。どうぞクライフとお呼びください。」
「はい。ではクライフ様。こちらをご覧ください。」
「はぁ...何でしょうか?紐に2つのカップ?こっちのゴムの付いた物は……」
「これはブラジャーといって、女性用の下着ですわ。こちらは女性用のパンツです。女の子は何かと大変なのでわたくしが作りました。よろしければ、同席している女性に付けて頂きたいのですが。」
「はぁ...お嬢様がいうのであれば。同席している副ギルドマスターのアイリスに試着させましょう。」
「アーニャ、アイリス様をご案内してさしあげて。」
アーニャとアイリス様は隣の部屋へと向かった。
『なんですかこれ!!凄いです!!フィットします!!』
『これを付けていると肩こりも無くなりますよ』
『それにデザインも可愛いじゃないですか!』
『私が今日履いている物も可愛いですよ』
『す...透けてるじゃないですか!!』
「お嬢様...一体……」
隣の部屋からはしゃぐアイリスさんの声が響き渡っていた。
「では、クライフ様もこちらを奥様にプレゼントして拝見してください。女性は中から美しく可愛くしたいものなのですよ。」
ガチャッ!!!
「ギ...ギルドマスター!!これ、絶対に売れます!!これも販売しましょう!!!私が責任を持ちます!!」
「まぁ、アイリスが言うのなら...いいだろう。」
「ちなみに、こちらは男性用のボクサーパンツというものです。クライフ様も是非、試着してみてください」
隣の部屋で着替えてクライフ様が戻ってきた。
「ひ...紐じゃなくゴムを使うとこんなにも動きやすいのですか!!これは商売の匂いがします。アイリス、これも販売するのだ!」
「かしこまりました。ですが、量産は出来るのですか?」
「出来るには出来るのですが...領内の女性にと思っていても、施設や給料といった初期費用に凄くお金が掛かるので、お野菜が軌道に乗ってからになってしまいます。今のわたくしにはそんな大金はありません……まだ11歳ですから……」
「エリスお嬢様。初期費用はこちらで用意します!是非、クライバート領で量産をお願いします!!」
これで目的に少し近づく事が出来たわね!
この3ヶ月でボクの悪い噂は無くなってきて、慕ってくれる人も出てきた。
だけど、働きたくても空きがなくて働けない人もいる。特産となる物を作って、クライバート領の強みを作らなくちゃ!
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