第5話 番外編 私は帰ってきた!!!!アマテラス

随分と報告書を書く事が出来ない状況にありましたが、ひと段落しました。

そもそも、同盟世界外から学校の一クラス分が拉致される事態を一柱に押し付ける組織が信じられません!


そう、事の顛末は、前回の報告書でお母さまが、馬鹿娘に雷を落とした翌日の出来事でした。


いつも道理、異世界への転移の審査を終え、一息入れようとお茶を入れようとした時でした。


『緊急事態発生 緊急事態発生!日本の○○県○○市の私立○○〇高校の2-Dにて違法転移発生!!』


警報と共に響き渡る声に、私は舌打ちをしてしまいました。


組織が設立し、異世界の神と同盟が結ばれる前は、自己中神が自分の世界を守るために、異世界の住人を資源として誘拐することがあった。


たまに、一人、二人、生死問わず拉致される事がありますが……

この規模は明らかに私の世界を馬鹿にされている!



そう考えたが、普通に人間たちがTVで見ている感覚で聞いていたので———


『尚、この事案に対して、管理局担当官 分霊番号1147 アマテラスが対処するように————、繰りかえす、この事案に対して、管理局担当官 分霊番号1147 アマテラスが———』



いきなり、自分に押し付けられたときは———流石に茶碗を砕いてしまったのは、不可抗力だと思った。



私はすぐに懐から、スマホ(通信機)を取り出すと、オペレーターに従事している弟に連絡した。

「ツックー!!あの指令は何です!?ここ10年休みなく働いている姉にこの仕打ち———恥ずかしくは———」

「———あー、この通信は違法転移時の混線の為―お繋ぎする事が————」

姉の通信に対してこの行動————許すまじ!!

「ツックー、姉さん本気で怒っているから冗談はやめなさい!あんまり酷いとツッキーちゃんに言いつけるわよ!」

とりあえず、自分を落ち着かせて、ゆっくりとした口調で問い詰めると、

深いため息の後————私の弟、月読(ツクヨミ)は観念した。

「悪かったよ、姉さん、だからツキヨミに言うのは止めてくれ」

「だったら、ふざけずに私と話をしなさい!」

ツクヨミは組織の管理職をしていて、私に仕事をよく持ってくるが、面倒ごとをこちらに押し付けてくるから、双子の姉であるツキヨミことツッキーに相談すると物理的な会話で朗報を持ってきてくれる頼りになる妹だ。

「それで、あの任務はなにかな?お姉さん、ちょっと訳が分からないんだけど?

あれって、明らかに武神関係の任務だよね?なんで審査員のはずの私が————そんな、面倒な事をしないといけないのかな?」

拉致された人を助けるのは普通、もう一人の弟スサノオの役割のはずなのに———

「ああ、スサの奴は———姉さんの部屋に侵入しようとして————独房にいるから無理」

最低な理由でうちの武神は使い物にならねぇな!!

「侵入って……また?確か、分霊が先週事件起こして、本体が謝罪してなかったっけ?」

何度目の謝罪かもう覚えてないけど————

「ああ、100万回目の謝罪会見で姉さんの本体が、キレてスサの本体も幽閉中だから異世界への出向許可が下りなくて————姉さんの本体が幽閉先の鍵をなくして、その尻拭いが分霊の姉さんに回って来たんだけどね」

私の本体のせいか——————ふざけるな私!!!


「ちなみに、拉致事件の犯神は、剣と魔法の世界で魔王を倒すとかの為に、小規模でこれまでに100人以上攫っている事が分かっている。その世界で任務を達成した後や死後も世界に閉じ込められている。

姉さんはその世界に侵入して……被害者を救出、保護しつつ事件の詳細を調べてほしい」

うわぁ……面倒————はっきり言って、よく異世界に移動する人間たちと同じくらいに面倒な事だ。

「ちなみに、戦闘に関しては?私、分霊だから力は本体の1割の力も出ないけど?」

とりあえず、能力不適切じゃねぇ?と文句を言ってみるが—————

「十分でしょ?火力にしても火の概念を使えば基本戦闘なんて楽でしょ?」

まあ、火どころか風も水も自然界の力は基本扱える。

ただ、センスがないってスサからよく言われる。

「これで姉さんが潜入も出来るとなれば、作戦の幅は大きく———」

これ以上仕事を増やして欲しくないんですけど————

「ツックー、姉さんね、ここ十年休みなしで有給とかも—————」

「大丈夫だよ!今回の任務は有給中に行った事にしてあるから、有給の消化もばっちりだから!!」

いや、そんな事を————そう言おうとした瞬間、私の足元に魔方陣が出現した!?

「おのれツックー!!」

「ふぅ———姉さんが逃げる前に転送準備が出来てよかったよ」

安堵する弟の声を聴きながら、私の視界は光に包まれ、体が沈んでいく感覚が!?

「おのれ!!おのれ!!!よくも私を謀ったな!!!この恨み!!!必ず晴らしてやるからな!!!必ずだ!!!!」

私はそう言いながら、親指を立てながら—————

ダダッダッダダン———ダダッダッダダン———ダダッダッダダン———

と心で某映画のアイル・ビー・バックのポーズで転移された。


川の中に—————


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