第4話 神(化身)だって転移するんです!
異世界転移転生管理局
デスクで書類に記載をしているとき、新たな転移を感知した。
『今回の転移は—————同僚か——————』
私はそう言いながら、魔方陣から出てくる金髪の狐耳の女性を見た。
見た目は普通の人間と変わらないが、その容姿は数多の男を魅了してきた化生だった。
「あら?イザナミ様の————お母さまと呼んだほうが良いかしら?」
『別に、イザナミで良いわ、白面金毛九尾殿』
「そんな名前で呼ばないでください、玉藻と呼んでください」
軽い挨拶を交わした私たちは、互いに相手を見る。
玉藻の前、目の前の九尾狐の事だが————私の娘のアマテラスの化身と呼ばれている存在———分霊の身といえども、娘のようなものだろうが————
私は玉藻の胸元を見て————自分の胸元を見る。
「あら?イザナミ様どうしましたの?」
私の行動に、玉藻は両腕で胸を隠しながら、私に話しかけてきた。
「いいえ、別に何もないですが……玉藻————なぜ胸を隠すのです?」
私は震える声を抑えながら、玉藻に尋ねた
「いっいえ……ほっ他のイザナミ様の分霊とお会いすると————
いつも胸をまるで黄泉平坂に引きずり込もうとせんばかりの悪意を感じますので————」
そう言ってきて————私は—————ビキッ!
「ひぃ!?」手に持っていた筆をへし折ってしまった。
『玉藻————私がそんな事をするわけないでしょ?』
私冷静になれ、やはりどんなに分かれても、私は私なのだ————
ええ、見ましたとも、あの無駄な胸の脂肪を引きちぎり、冥府を駆け下りようと————
だが、今はそんな時じゃない!
落ち着け!私!!なんでこの子は、私の娘の化身なのに、私よりも胸があるとか————
あの胸でどれだけの男を魅了したのか————落ち着け————落ち着け————
私は息を吐きながら、新しい筆を取り————
「あっあの—————イザナミ様!!人間たちの間では貧乳はステータスだと————」
ビキッ!
「ひっ!?」
再度へし折った—————
そこで一旦身体的特徴の話は、切り上げることにした。
『それで、異世界に何の用です?』
とりあえず、玉藻は、詰めが甘くいつも騒動を起こしてしまうが、そこはしっかり挽回している分、それほど心配してはいない。
「イザナミ様、女にそれを聞くのは野暮ってものですわ」
うん、理解した。恋愛絡みだ。
『はぁー(´Д`)……』
「なんです!!その表情は!!今回もわたくしは、本気なんですよ!!」
『貴方が本気でも、いつも相手がその愛に押しつぶされて、逃げているでしょう……』
「そんな事————イザナミ様に……お母さまに言われたくないわ!!」
あっ……娘言っちゃいます?母に向かってそんな事言っちゃいます?
「お母さまの愛の重さに……お父様だって————嫌気が……でも、1500人……を……許すまじ!!!あのバカ父!!
とっかえひっかえ……なんだと思っているのかしら!!!」
勝手に怒りだしましたよこの馬鹿娘!
確かにイザナギのあれは、家族にとってもひどい
甲斐性もないくせに子供を孕ませ続ける……今思えば、何で私はあんな男と————
「だから、お母さま!!お父様に比べたら———マシですわ!!」
激しく同意!!
『まあ、あの人の話はこれまでにして……結局、男関係で異世界に行くのね?』
私の質問に————
「(∀`*ゞ)テヘッ」
『……』
結局はそう言う理由での転移だったので————
『能力の封印を施します!その男に甲斐性があるなら、その位の弱体化している貴方でも幸せにできるでしょう!』
とりあえず、世界の破壊が出来ないくらいに能力を封印した。
九尾から三尾くらいには————だって、下手に弱体化して娘がひどい目に合わされるなんて嫌だし————強制隷属無効の能力や魅了能力耐性も付けたし————
「あんまりよ!!イザナミ様!!これじゃ————毒虫があの人にまとわりついていたら————」
悪女属性はそのままにしておきましょう。これで別れても自業自得ですし————
『それでは、良縁に巡り合えることを信じてます!』
私は玉藻の強制転移を施行した—————
後日
「見ましたか!!!お母さま!!!私は真の愛を手に入れました!!
悪女の私ですら受け入れて頂けたのです!!」
胸を天に目掛けて突き出しながら、そう叫ぶ娘に—————落雷を堕としたのは必然の出来事だ。
「( *´艸`)これが……持つ者の……余裕……なの……です……ね♪」
そう言いながら地面に倒れ伏せた、娘を見ながら————もう一撃与えようかと本気で悩んだ事をここに記す
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