お姉ちゃんが勝手に俺をジャニーズJr.に応募しました

Unknown

#######

 眠れない夜、俺は亡くなった友達のことをベッドの中で思い出していた。2020年の暮れに亡くなった。共通の友達がそれを教えてくれた。実際に家に行って確かめた奴もいた。俺のことだ。俺は車で富山県の家まで行った。だが友達はもうこの世には居なかった。

 苦しみ尽くした果てに、あいつは解放を選んだ。それも一つの喜びなのだと思う。俺は友達の選択を尊重する。だから自殺を悪いことだと思わない。思い出はまだ俺の胸の中で生きている。

 聡明な友は自ら死を選んだ。

 一方の俺は、死ぬ勇気なんて持てずに相変わらずグダグダ生きてしまっている。

 あと4ヶ月くらいで27才になってしまう。俺が敬愛するカート・コバーンが亡くなった年齢に肩を並べてしまうが、俺は彼と違って何も世の中に残せていない。

 俺は20才から26才直前まで実家でゴミみたいに引きこもって酒と薬とタバコに溺れてたが、今の俺はそうではない。酒と薬とタバコに溺れてるのは相変わらずだが、1Kの家賃29000円のアパートで1人暮らしをしつつ、バイトもしている。ちなみにアパートに関しては特定されても全く構わない。なんなら、酒でも持って遊びに来いや。

 今の俺には恋人らしき存在もある。

 俺の存在が生きる目的の1つだと、彼女は言ってくれた。嬉しい。今すぐ会って抱きしめたい気持ちになった。

 彼女は死にたがりだ。手首をよく切る。大学をよく休む。そして未来に期待していない。

 俺が、生きたくて生きたくて仕方なくしてやるから、待ってろよ。

 彼女は身長150センチ。小さくて超可愛い。俺は171センチだ。

 だからなんだ????

 お互いの存在がお互いの生きるモチベーションになればいい。一緒に死ぬのではなく、一緒に生きていけたらいい。

 やっぱり生きるのが上手いのは口が達者な奴なのかもね。俺は、おとなしくて不器用な彼女のことを理解している、つもりでいる。

 世界は平和になんかならない。

 だから、せめて俺の周囲の人間は平和であってほしい。

 この儚い世界の中で、信じた人がいる。こんな儚い世界の中で、好きになった人がいる。

 好きになった人、好きになった言葉、好きになった音楽、好きになった場所。死にたい奴にも絶対あったはずなんだ。だからこの世界の全てを否定しないで。


 ◆


 とか偉そうに抜かしつつ、俺は平日の昼から缶チューハイを飲み、アイコスを吸って、音楽聴いてる。

 俺が平日の昼間から酒を飲まなくなったら、それはもう俺じゃねえ。

 正直、毎日特別なドラマは起きないから、そんなに書きたいことがない。

 ワシの彼女、今日は大学行けたかなー。月曜日は大学サボりがちだね。

 ワシは専門中退だから、学校行きたくない気持ちはよくわかるよ。仮に中退しても全然いいと思う。どうせ人生なるようにしかならん。俺は適当に生きたい。


 ◆


 丸亀製麺のシェイクうどん食べたい。最近流行ってるよね。Twitterでもよく見るよ。


 スタバの新作のなんとかフラペチーノ飲みたい。メロンフラペチーノが1番好き。


 ◆


 そういえば最近、俺のお姉ちゃんが勝手に応募して、ジャニーズJr.のオーディションを受けることになってしまった。


 まあ俺は圧倒的にイケメンな男だから余裕で受かると思う。あと4ヶ月で27才になる男が今更ジャニーズJr.に入るのはちょっと遅いかもしれない。でも宇宙規模で見たら俺はまだ子供だ。だから、しっかりジャニーズJr.から下積みして、将来のジャニーズを支えていけるよう頑張っていきます。


 最近、ジャニーズは色々な問題があるけど、俺がジャニーズの腐った体質を変えていきますから。応援よろしくお願いします。


「もうお前はJr.じゃねえ」とか、そんな戯言は聞きたくねえ。


 人は何歳からだって挑戦できる。それを俺が立証してやるよ。諦めんじゃねえ。俺はジャニーズJr.になるんだ。


 ◆


 酒が終わっちゃった。今日は缶チューハイ2本だけしか買ってない。今日はこれだけで我慢する。物足りなくて、アイコスをスパスパ吸いまくってる。


 シャワーを浴びたから、昼寝します。真っ白のシーツが気持ちいい。雨降ってきた。ねむねむ。眠い


 もう何もやりたい事ない。やる気が無い。どうでもいい。色んなことに飽きた。疲れた。頑張ることが当たり前だという常識を疑え。


 だが「死にたい」とか言ってられる年齢でもなくなってきた。「死んで生まれ変わろう」なんて甘い話どこにもねえ。生きたまま生まれ変われ馬鹿野郎。俺は今からジャニーズに入る。


 大人になれなかったトー横キッズの末路みたいに生きてて恥ずかしくないのか。


 馬鹿もメンヘラも、いつか大人にならなきゃいけない時が来るんだ。


 俺は大人になれなかったよ。


 なので今からジャニーズJr.に入る。


 そんなことより俺は彼女のおっぱいを1000時間連続で揉みまくりたい。


 ◆


 昼寝したら1日が終わってた。部屋が暗い。


 お昼寝さいこー!!!!!!!!!!


 Unknown最高!!!!!!!!!!!


 お前ら最高!!!!!!!!!!


 うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!


 ある歌舞伎俳優の両親が向精神薬の多量摂取により亡くなった。俺もこの前、向精神薬を120錠ほど飲んだが全く死ななかった。俺は強く生きる。神が俺に「生きろ。おっぱいを揉め」と言っているからだ。一理あるんだよな。自殺するくらいならおっぱい揉んだ方がマシだ。近くに彼女が居ないなら、おっぱいパブに行けばいい。


 人間の生きる意味とは、おっぱいに他ならない。


 酒が飲みたくてイライラするから、コンビニに行ってくるよ。ストロングゼロの青リンゴ味がうまいんだ。もしコンビニ行ったら買ってみて。


 最近はゲームで忙しいんや。だから仕事なんかしてる場合じゃねえ。と言いつつバイトちょこちょこ頑張ってる。


 学校、仕事。そんなの適当でいいんだ。辞めたきゃ辞めちまえ。誰だって間違ってない。


 酒を買うためにアパートの外に出たら、一階の住人に声をかけられた。笑顔のおじいちゃんだった。


「私、1階に住んでる者ですけど、たまにカラオケやってるのでうるさかったら言ってください。あ、夜はやってないんですけども」

「はい、わかりました」


 と俺は愛想笑いで答えた。


 1階からカラオケのボンボン鳴ってる音が聞こえることもあるが、全く不快に感じた事はない。ちなみに俺は2階の住人である。


 思い返すと、今日初めての会話であった。


 俺は心の中で少しジジイに感謝し、コンビニへと歩を進めた。


 そんなことより俺は彼女のおっぱいを10億回ソフトタッチしたい。夜の小雨の中でそう思った。





 終わり

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

お姉ちゃんが勝手に俺をジャニーズJr.に応募しました Unknown @unknown_saigo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ