第二章 4.裏の職業 現代ファンタジー要素!
「はっ……ははは……義姉さん……千影義姉さん……」
私は机の前で泣いた……助けられたかもしれないのに……ただお金で逃げたのなら兄さんに恨みを持って、
あの子達と静かに暮らせたかもしれないのに……頼ってくれれば……私になら……
「義姉さん……わたし……俺は……作家になれたんだよ……義姉さんに言ったような、自分の話で人を感動させる話は書いていないけど……本当の事を言いたかったけど……
俺は……」
位牌の前でも泣けなかった涙が、机を濡らす……辛い……今の私に出来る事は……
そう考えたとき、私の携帯が鳴った……編集者からか……私は携帯のスイッチを入れた
「私です……」
「おい、お前……なにをしたんだ?」
いきなりそんな事を言われ、私は眉をひそめた。
「何かあったですか?」
「なにって……お前が借金をしたって、そのお金を取り立てに着たんだよ!!」
「で……どうしましたか?」私の働き場に?そこまで情報が?
「無論、追い返した!!あの程度の金なら、お前なら即払いだろ?
それに、お前をバイトとか言っていたからな……怪しすぎだ!
即警察のお世話になってもらった」
自信満々で言う編集者に私は電話越しで笑う
「おっ、久しぶりに笑ったな~ここしばらく、苦笑いはすれども、本当に笑っていないからな~」
「そんな事は無いと思ったんですけどね~」
「それで、何か手伝える事はあるか?」
「ああ、そうですね……」ここまで手が早いと、週刊誌に書くという手もあるな……
「そりゃ~この会社としては、賞も取っていないお前に何も出来ないけど、僕は、千実(ちじつ)先生の作品が好きなんですから」
千実……一応私のその会社で使用しているPNだからな……義姉さんを意識しているのは、仕方が無い。
「それでも、お前の作品はよく売れるからな~賞が取れないのが不思議だよ……」
「それより、頼みたい事ですが……週刊誌に対して、私の中傷があれば抑えてください」
もし、あの子達を巻き込むような週刊誌でも書かれたら、二人に迷惑がかかる
「ああ、わかった!それくらいなら、抑えられる!」
「あと、一人調べて欲しい人物が……」
「いいけど、その代わり次の作品を早く作れよ!」
「ええ、作ってあげますよ!」私はこの編集者の願いを受け取った
「でっ、誰を調べるんだ?」
「今から名刺と住所を映した写メを送ります」
私は、スーツに入れていた名刺を探し、実家の住所を書いた紙を携帯のデジカメで撮るとメールした
「その名刺の人物の事とその住所の家を手に入れて、一番得をする人物を調べてくれ」
「了解!何かは聞かねぇけど、何かわかれば連絡する」
私は、その返事に満足し、電話を切った……
「仕事場をもう調べたなんて……手が早いな……守るだけで……乗り切ろうと思ったけど……もう駄目だよ……」
私は、携帯を懐に落とした……
そして、PCの前に向かい……メールBOXを見た……
仕事用じゃない……個人用のメール……いや、内職……家業用だろうか……
助ける事の出来る力との連絡する事の出来る方法……
本来……鷹羽家は、ただの家ではなかった……
正確に言うと、本来の鷹羽家の跡継ぎは、普通の人ではなかった。
本来、鷹羽家の党首は、修造兄さんではなかった。
私は、修造兄さんの父の、兄の子だ……言うならば、鷹羽家は、本当なら私が継ぐはずだった……
だけど、私が小学生の頃……父と母は死んだ……
だから、修造兄さんのお父さんが、一族の当主になったが……それは、本当の当主ではない
当主には秘密が与えられた……
それは、当主だけに伝えられる事……父さんが死んで、その事を知らされることは無かったが、
跡取りとして、育てられた私以外、その事を知らない
その秘密とは……ある組織に従い、守る事だった……
鷹羽家は、表向きは資本家だった……
だけど、その昔、人の命を奪う役目を担っていたと、父さんは言っていた……
国の為に人を殺したと……でも……その役目は、殺された遺族にも……殺すように言われた国にすらも、狙われる時代となった……。
そんな、鷹羽家を救ったのが、その組織らしい……
それ以来、鷹羽家の党首は、その組織に忠誠を誓い、その組織に殉じて父さんは死んだが、
なぜ母さんも死んだのかは、わからない……
二人がどうやって死んだのかも……ただ……二人が死んで……起こった事は二つ……
一つは……組織からの使者から渡された……二人の遺骨……
そして、次に来たのは……鷹羽の名を継いだと私に言ってきた……父さんの弟夫婦だった……
つまり、兄さんのお父さんだ……まあ、二十歳になった修造兄さんに、当主の座を継がせると言っていたけど……
私は……ふと思った……
「そう言えば……叔母さんと叔父さん……どうなったんだろう?」
確か……義姉さんと兄さんの結婚を反対したりして……
こんこん……
ドアがノックされた
「何か用ですか?」
私は、ドアを開けた……
「ど……も……」
凪ちゃんだった
「凪ちゃん、どうしたの?」
私は、今までの考えを、振り払い、作り笑顔をするが……一瞬……凪ちゃんの顔が引きつった気がした。
「どうかしたの?」
「な……なんでも……な……」そう言ったから私はドアを閉めようとしたが……
「く……ない」私はドアを閉めるのを止めた……
「そこに居たら、寒いだろうから、中に入るかい?」もう春だが、まだ日が暮れると肌寒い
凪ちゃんは、首を縦に振った……
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