第一章 3.改めて自己紹介

「ご馳走様、久しぶりに、誰かが作った美味しい料理を食べたよ」

私は、いつも自分で自炊して生活していたから、他者の作る食事は久しぶりだった。

「御粗末さまです、凪はご飯おかわりする?」楓さんは、美味しく食べた事に機嫌が良くなっていたが…ご飯をつぐ彼女を見ていて、私は、凪ちゃんに驚かされていた

これで5杯目だ…私の目の前で今5杯目の茶碗が渡された…

「凪ちゃん、よく食べるね~」

凪ちゃんは、食べる事に夢中なのか、気にもしていない

「凪ちゃんは、成長期だから、たくさん食べるんですよ」

と凪の変わりに私に言う。

楓さんは、女性としては、背が高く、スラリと綺麗というが…

凪ちゃんは、背も小さく、可愛いと言える。

だけど…楓さんや私よりも凪ちゃんはたくさん食べるが、一体何処に…

あれだけの量が…

「ごち…そう…さま」

いつの間にか凪ちゃんが両手を合わせてご馳走様と言っていた。

「凪ちゃん、ご飯好きなの?」

「うん…楓の…ご飯…好き」ご飯を食べ終わったからか、私の質問に答えてくれた。

「でも…おじさん…だれ?」どうやら、さっきの事を覚えてない?

「凪は、ちゃんと言わないと、覚えてくれないんですよ」

と楓さんは凪ちゃんのフォローをすると、

「そうです!丁度良いので、皆で自己紹介をしましょう!」

手を打ってそう言うと、いそいそと、御茶をつぎに行った


「では、第一回鷹羽家の自己紹介を始めます!!」

元気よく、楓さんが開始の宣言をすると

「どん…どん…パ…フ…パフ」と頑張って凪ちゃんは相槌を打つ

「では、まず、私から鷹羽楓15歳です、趣味はスポーツで陸上関係の競技は得意です!あと、女の子の最強スキルの料理が得意です。」

と胸を張る楓さん…

「15歳…見た目よりも若いね」私が素直に感心すると

「それって、私が老けて見えるって事ですか!」

女性に見た目より年上に見えるのは禁句だったようだ


「いや、そう言うわけじゃない!ただ、美人でしっかりしてたから、18くらいかなって…」

「いや…美人って照れる」

美人と言う言葉に反応して、照れだした

「次は、凪の番よ」

楓さんが、凪ちゃんを指定する

「ぼく…の名前…は、鷹羽凪…15歳…」

「15歳!?楓ちゃんと同い年」私はあまりの事に驚いた

「そうですよ~2卵生の双子です。だから、似てなくても双子なんですよ」

驚いた私のフォローを楓さんはしてくれた。

「趣味は…別に何もない…」凪ちゃんはそう言うと、口を閉ざして私を見る

「次は、私の番かな?」

私は立ち上がるが…そんな私を、凪ちゃんは、なにやら落ち込んだ風に見て、座った。

何かあったんだろうか?

「私の名前は、鷹羽朱鷺です。年齢は25歳で、職業は…」

今は休暇中だけど…たぶん休暇が終わったとしても…もう作家には戻らない可能性が高いし…


「職業は、フリーターです」無難な回答をした。

まあ、嘘ではない

ネタを探す為に、アルバイト生活をしていた。

だけど、スランプになってからバイトも止めたから、今ではそれ以下だろう。

「フリーター…ですか…意外です…母さんの話では…作家になると言って家を出たと聞いたので…」

しまった…姉さんが私の事を話していたら、その話を聞いていたとしても、おかしくない…

「ああ、作家もやっているよ~売れなくてね~」と今更、正直に話す気もないから

誤魔化すと

「そうですよね…頑張っていい作品を書いてくださいね!!」

楓さんは私を励ましたが…胸が痛い…その顔は、あまりにも姉さんに…

作家になるのを頑張っていた…中学の頃の私に言った…姉さんに似ていたから…

「どうかしたんですか?」

急に楓さんが、私を呼んだ

「ん?どうかした?」私が聞き返すと

「急に顔色が悪くなったので…」私を心配そうに見た

「ああ、大丈夫だよ」私は、力無く笑うが、余計に心配させたようだ

楓さんが、私に何か聞こうとした瞬間、何かの音が鳴る


「呼び鈴です…たぶん弁護士の人と思うので、入れてきますね」

話すタイミングを失って、これ以上は話せないと思ったみたいだ。

そうやって、自己紹介は終わった。



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