第2話 日花の恋愛
放課後私たちは寄り道をしながら帰ることにした。古びた外装でどこか懐かしい駄菓子屋がぽつんとたっている。私達二人の秘密の場所だ。
ここの駄菓子屋は学校から離れていて周りを見渡しても家が少ない。田んぼばかりだ。
この立地でよく経営出来ているなと少しばかり感心する。2人雨の中のアイスを頬張った。
まだ外は蒸し暑くもなく逆に肌寒いぐらいだ。
何だか私達だけ別世界に居るような気がした。
ベンチに座る2人の空間だけ早めの夏が到来していた。いかにも風鈴の涼しげな音色が聞こえてきそうな雰囲気だ。私たちはアイスでお腹を満たしたあとぼーっと外の景色を見ていた。カエルの鳴き声、紫陽花が綺麗に咲きほこる田舎道。
それもまた紫陽花も何も言わず眺めている。
私はここで聞くのが1番じゃないのかと思い勇気を振り絞って聞いてみた。
「ずっと相談したかったことなんだけどね、」
と少し空気が重くなる。話したからには後には引けない。紫陽花が私の話を真剣な顔で聞いてくれていた。
「廉先輩って好きな人居るの?」
安直な質問だ。まるで私が廉先輩を狙っているかのようだ。実際廉先輩に片思いをしている。
なんでも、廉先輩と紫陽花は小さい頃からの幼なじみらしい。紫陽花も学校1美人、廉先輩も学校1イケメンとも言われてるので、もしものことでなかなか言い出せなかった。
そんな心配も裏腹に紫陽花は
「居ないよ」とだけ言い放った。
口先では否定していたが紫陽花の顔が少し強ばったのを私は見逃さなかった。
居ないと言ったが何故一瞬そのような顔をしたのか。私に嘘をついていたのか。嘘じゃないとしたら?紫陽花が嘘をつくメリットは?
もしかして紫陽花は廉先輩の事が好きだから周りの人に渡したくなくて、嘘を言っているのではないだろうか。そんなことを考えていると遅れて彼女は言った。
「ただ、廉はやめた方がいいよ、」
と。やはり紫陽花も廉先輩の事を好いているのでは無いかと確信した。
ただ何故"やめた方が良いよ"と言ったのか気になったが、聞き返せる勇気もなくただ
「ありがとう」とだけ伝えた。
紫陽花のように 走る大根 @daikou-105
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