第5章 竜は語る
第028話 紫 竜(ヴィオレ)
この宇宙は
本当かどうかは知らない。
どうせ神話だ。あることないこと、おもしろおかしく書かれているだろう。信じるかどうかの選択も、もちろん個人の自由だ。ある者は盲目的に
体長は約二〇メートル、全長では五〇メートルくらいあるだろうか。その巨大な全身が、ラースガルドの
「――ド、
スクリーンに映る巨大な姿を目を奪われながら、エレオノーラが叫んだ。
爬虫類を思わせる硬い
その頭の両側面にある金色に輝く一対の瞳が、縦に細く伸びた
「いや、竜人族ではない。ヤツの
ミランダ先輩が、エレオノーラの言葉を否定する。
「竜人族の
先輩に言われてもう一度スクリーンをよく見ると……確かに五本あった。
竜人族ではない
「あれが先輩のいう、伝説の
「わからん。確かなのは……竜人族ではないというだけだ」
ミランダ先輩の顔が、心なしかひきつっているようにも見える。いや、彼女だけじゃない。エレオノーラも、セラフィーナも、そして俺も――おそらくはここにいる全員が同じ表情をしていることだろう。
「……モニカ」
俺は、
「はい、ご主人様」
「光学迷彩は機能しているんだよな?」
「はい。間違いなく機能いたしております」
あの生き物には効果がないということか。炎でも
「迎撃することは可能か?」
「可能です。ですが――」
『『――お待ちください、レーン様』』
モニカの言葉を遮って、
『『あの
敵ではない?
どういうことだと
《――私の名はヴィオレ。ヴィオレ・ヴァル・ヴォレイグ。竜を
ミランダ先輩が、驚いたような顔をこちらにむける。彼女の頭にも届いたようだった。「竜を統べる者」というからには、あれが
俺はまた、スクリーンを見つめる。
《――代表者と話がしたい。そちらにお邪魔してもいいだろうか?》
頭の中にもう一度声が響く。ユグド=ラシルが敵でないと言うのなら、こちらとしても聞きたいことはある。だけど、あの巨体をどこに案内する?
《――心配には及ばない。では……》
声が聞こえたかと思うと、スクリーンに映っていた紫色の竜の姿がふっと消えた。
そうして次の瞬間――。
紫色の髪、紫色の瞳、整った顔つき。どこから見ても三〇歳前後の
「私の名はヴィオレ。ヴィオレ・ヴァル・ヴォレイグ。代表者はどなたかな?」
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