第027話 邂 逅(ファランドール)
それから、あっという間に二か月ほどがすぎた。
ミランダ先輩は、俺の部屋とセラフィーナたちの部屋の中間あたりにあった一室を商会のオフィスに改装して、何やら忙しくやっている。そのままそちらに引っ越すのかと思ったら、
「事務所に寝泊りする趣味はない」
ということで、夜になると俺の部屋に帰ってきた。
オフィスには会長の執務室と事務室、それに応接室と会議室が作られ、家具や書架が運び込まれた。
アークウェット商会。
赤く塗られたオフィスの出入口には、社名と
「
「なんで
「昔からなぜか
うん、まあ、そういうものかな。
新しい宇宙船も、すでに二隻が発注済みだ。ロンデニオン商会が発注して建造中だった
「軍を辞めた
らしい。ただ、宇宙船の
「あと五人は確保したいんだがな……」
そう考えたミランダ先輩が老作業員に
「
ユグド=ラシルにそう
『『面白そうですね。やってみましょう!』』
と二人とも
それから俺は、二人のAI
開発といっても、主要な部分は
そうして完成した試作初号機は、性能はいいけどコストがかかりすぎる代物だった。俺の知らないうちに女性タイプの
『『これでいいんですよ。これは私たちの身体の試作品ですから!』』
どうやら、
ユグドとラシルはこの試作品をさらにブラッシュアップして自分たちの
『『主要な
まあ、それは
「ご主人様。対策として、頭部のネジを外されたら自爆するようにいたしましょう」
物騒な提案をしたのは、マルガと一緒に俺をサポートしてくれた青い髪の文官メイド、メーベル・イースリーだった。修理するときに困るだろ、それじゃ。
とかなんとかやっているうちに、実用となる新型の
サーヴィタル
女性タイプの新しい
ちなみに、もうひとりの
「この前やっと四〇人の名前を
ということだった。お疲れさま、よくがんばったな。
充電を終えて再稼働した四〇人のファティス
エレオノーラは、四〇人の戦闘メイドを二つの中隊に分け、船内警備と防空を交互に担当させることにしたようだ。どちらか一方に専念させると何かあったときに
彼女は一つの中隊を、さらに七つの小隊に分割した。
「でもそうすると、最後の小隊が二人にならないか?」
俺が
「何言ってるんですか、先輩。そこには私と先輩が入るんです!」
う、うん、そうだな。
……いつの間にか、俺も警備隊の一員になっているらしい。
「その警備隊という名前なんですけど、ひと
ラースガルド警備局
それがエレオノーラのつけた名前だった。アニメかSF小説に出てきそうな名前だ。だけど、俺もその一員なんだよな? 男だけど、いいのか?
「細かいことはいいんです」
エレオノーラは
「あのエレオノーラがな……」
声がしたほうに視線をやると、いつの間にか
そんなある日、
場所は、俺たちがいる地点とは恒星ヴァンタムを挟んで反対側の宙域にある
「あの
夕食時、リビングに置かれたTVを観ながら、ミランダ先輩が眉を
「私たちが襲われたときも、母艦の集中砲撃で何とか追っ払えた程度だったからな。だが、放っておくとまた被害が出るぞ」
「なんなら私たちで退治しちゃいます?」
と、エレオノーラ。
その選択肢がないわけじゃない。だけど、それをするとラースガルドの存在が
『『《
いつの間にか現れたユグド=ラシルが、誰に言うでもなく
そして――。
俺たちの乗るラースガルドの前に一体の巨大な
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