第010話 混 濁(エプロンドレス)
……ここはいったい
目を開けると、明るい天井が飛び込んできた。
照明やら換気口やらが、規則正しく並んでいる。背中の感覚からすると、俺はベッドか何かの上に横たわっているらしい。前方に目をやると、白くて薄い毛布が自分の
「――お
誰かの声がした。
そちらに視線をむけると、若い女性が近づいてきた。
襟と
ヘアバンド? この場合はカチューシャというべきか。いわゆるひとつのメイド服なのか?
いや、そんなことはどうでもいい。
君はいったい誰なんだ? どうして俺の名前を知っている?
「失礼いたしました。
メイドール? 文官メイド?
ここは誰? 俺は
……どうやら俺は混乱しているらしい。
「まだ少し意識が
俺が
何も着ていないのかと毛布の下で自分の下半身に触れると、やっぱり何も身に着けていないようだった。
ほどなくして、テーブルの上に透明な液体の入ったコップが置かれた。
「これは?」
「ただのお水です」
俺は右手を伸ばしてコップを
俺は
そこで俺は、さきほどの違和感の正体に気がついた。胸にあるはずの《
「ご心配は無用でございます。ここは
メイド服の女性が表情を変えずに
「レーン様の思考を
気持ちを落ち着けようとして、そばに立っている女性を少し観察する。
少しだけ赤みを帯びた白い肌と紫色の瞳。すっきりとした顔だちをしているが、どことなく無機質な感じをうけた。可愛いというより、キレイというべきか。
頭の中が、なんとなく晴れてきたような気がする。
「はい。さきほどのお水に、精神安定のための薬剤を少しだけ混入しておきました」
……ただの水って言ったじゃん。
「
メイド服の女性が、深々と頭を下げた。
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