第109話 かくれんぼ

【DAO】イベント会場Part3【第四回】


318 名前:名無しの古代人

    装備は固定で武器は没収

    予想外です


319 名前:名無しの古代人

    イベントが始まったのに書き込みか

    さっさと武器をもらって突撃しろ


320 名前:名無しの古代人

    ≫319

    オマエモナ


321 名前:名無しの古代人

    ひとりふたりサボったところでな

    バレへんバレへん


322 名前:名無しの古代人

    さすがに人数が多すぎる

    適度に楽しもうぜ


323 名前:名無しの古代人

    ガチ勢はガチ勢

    エンジョイ勢はエンジョイ勢

    それぞれの遊びがあるわけだ


324 名前:名無しの古代人

    問題はごちゃ混ぜなこと


325 名前:名無しの古代人

    エンジョイ勢が蹂躙されないよう

    ガチ勢は守って差し上げろ


326 名前:名無しの古代人

    まあ採取とかが用意されてるし

    わりと戦闘以外でも活躍できそう


327 名前:名無しの古代人

    生産があって嬉しい


328 名前:名無しの古代人

    いい仕様だと思う


329 名前:名無しの古代人

    こういう系はあり寄りのありあり

    定期開催してくれ


330 名前:名無しの古代人

    まだ開始直後なんですが


331 名前:名無しの古代人

    城の広さやばいわ


332 名前:名無しの古代人

    赤は紅騎士団のホームだよな?


333 名前:名無しの古代人

    運営の手は入ってるみたいだが


334 名前:名無しの古代人

    イベント用の運営カスタムね


335 名前:名無しの古代人

    仕事が早い

    ホームの状態を逐一確認してたのか?


336 名前:名無しの古代人

    作業現場にブラック臭が漂う


337 名前:名無しの古代人

    ホームは手間暇かかるよな


338 名前:名無しの古代人

    素材さえあれば楽勝なんじゃ


339 名前:名無しの古代人

    開発ツールも使えるんだし

    ゲーム内のより遥かに高性能だろ


340 名前:名無しの古代人

    城の他に拠点もホームかこれ


341 名前:名無しの古代人

    運営のお手本が見られるな


342 名前:名無しの古代人

    出回ってない家具はありそうか


343 名前:名無しの古代人

    観光したいが命がけになるやつ


344 名前:名無しの古代人

    みんなについてけば安全だ


345 名前:名無しの古代人

    一人で動き回るのは逆に危険

    単独で裏取りする連中が絶対いる


346 名前:名無しの古代人

    拠点のキャプチャーがあるとね


347 名前:名無しの古代人

    でもガーディアンが守るんでしょ?

    ソロだと厳しいかもよ


348 名前:名無しの古代人

    パーティ単位で倒せるぐらいかな


349 名前:名無しの古代人

    集団でボコすのも味気ないけど


350 名前:名無しの古代人

    議論より実際に確かめたほうが早い


351 名前:名無しの古代人

    そろそろまとめ役があれこれ言うぞ


352 名前:名無しの古代人

    指示待ち人間出ます


353 名前:名無しの古代人

    無視で妖精おじのホーム見に行こう


354 名前:名無しの古代人

    集団行動は守ろうぜ

    代わりに見てくるからさ


355 名前:名無しの古代人

    よせ

    おれが行く


356 名前:名無しの古代人

    じゃあ俺も


357 名前:名無しの古代人

    これもう決戦場では?




 ◇




『配布武器に特別な能力はないでござるな』


 城の中庭に面した部屋で複数のNPCが店を開いており、自由に買い物ができた。ひと通り揃った武器類は無料で、ポーションなどは貢献ポイントで値段がついていた。クエスチョンマークで隠れたものは後々解放されるのだろうか。


 防具は固定のため魔導書を受け取れば準備完了だ。アイテム欄が寂しく心もとないが、条件は皆同じだった。


『さてさて、団体行動か単独行動。どちらにしますか?』


『歩調を合わせるのは前提で、まずは回復代行結社のギルドホームが使われた場所を見に行きたいです』


 人が込み合う部屋を離れて会話をしつつ門の方に向かう。


『やはり確認は必要でござるな! しばらくすると、どなたかが号令をかけるでしょう』


『その間に当てをつけ……?』


「紅! どこに行った!」


 誰かが慌てた様子で紅さんの名前を叫びながら走っていく。装備で雰囲気は異なるが、あのメガネをかけたプレイヤーは……。


『ふむ、トラブルでござるか?』


『紅騎士団のシュヴァルツさんだと思います』


 なぜかフレンドになっているが、連絡は一度も取っていなかった。


『紅殿が単身で敵陣へ突撃したのかもしれません』


 どういうわけか、あり得ると考えてしまう。何かと縁を感じる紅さんも言葉を交わしたのは数えるほど。本人の性格や気質は勝手なイメージによるところが大きかった。


『ほほう? 地図に拠点名が載っているでござるよ』


 門を出て地図を開くと横に長い広大なエリアが表示される。左端が赤の城で、右端が青の城だ。その間に二十を超える拠点が散らばり、それぞれに名称がついていた。


『ギルド名とは異なる印象を受けますね』


 台地や池などフィールドが想像しやすいような言葉が後ろに続く。


『この中でしたら辺境の里が最も当てはまるかと。忍の文字が入っていれば完璧でござったが』


 確かに辺境らしさのあるホームだと思う。場所は地図の中央上部だ。


『せっかくのイベントです。違っても楽しめるので行ってみましょう』


『了解でござる!』


 ルール説明を聞いた限り、ワープと復活が可能な拠点の奪い合いになる。先に移動したとして、おそらく開始直後は中央近辺が相手陣営との衝突地点。味方もすぐにきて合流できるはず。本格的な戦いの前に急いで見学だ。


「ナカノ」


「……?」


 坂を下ったところで名前を呼ばれた。周りに木が生えた箇所が存在し、一人のプレイヤーが陰に隠れる。装備と同じ赤い髪には覚えしかない。紅さんがこちらへ向けて手招きをしていた。

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