第13話 推し探し(モニカちゃんに飽きた訳ではない)

 

食器を洗い終え、濡れた手をタオルで拭いて

冷蔵庫から適当に飲み物を取り出す。

そのまま棚からお菓子を出して、自分の部屋に向かった。


そう。今から俺は推したくなるようなVtuber探しを始める。


念のため言っておくが、別にモニカちゃんに飽きたわけでは決してない。

ただ、以前視聴した切り抜き動画を見て、モニカちゃん以外のVtuberにも興味が湧いたのだ。


そしてそのリスナーたちはどんなコメントを打っているのか、配信者とのコミュニケーションはどのようにとっているのか。それを見てみたい。


早速Ytubeで『Vtuber』と検索してみる。

すると1番上にはやはり大手のVtuberのゲーム配信のアーカイブが表示された。


「…うーわ。すっげ。この人登録者112万人いるよ。」


ちらっとその動画を開いてどんなもんか見てみると、コメントの速いこと速いこと。


流石、112万人の登録者を有しているVtuberだ。

視聴回数も半年前だが124万回再生と、内容的にも良かったものだとわかる。


それもプレイングの上手さ、声の良さ、話の面白さ、ビジュアルの良さ、コメントとの絡み。

その全てが素晴らしいものだからこそ、このVtuberはそれを達成できたのだと思う。


なんとなくコメント欄を見ていると、自分も何かコメントをしてコミュニケーションがとりたいと思いはじめた。


「…そうだな…。今ライブ配信中のVtuberいないかな。」

俺はもう一度『Vtuber』と検索し、表示された画面の右上の三つの点を押して、検索フィルタから『ライブ』を選択する。

そうして一度戻れば、現在ライブ配信中のVtuberが表示されるようになっていた。


「へぇー。この時間にも結構活動してる人いるんだ。


……やっぱり朝活多いな。


…挨拶耐久とかもあるわ。」


その配信の種類も様々で、普通に面白そうと思えた。


だが、俺はコメントを読んでもらって、

配信者とコミュニケーションがとりたいわけだ。


つまり同接が多いとそれをすることは難しくなってしまう。

できれば30人以下のところがいいなぁ……。


しかし、休日とのこともあり結構同接が多い

ところがよく目に入る。

それでも30人以下のところは結構あったので、

ちょくちょく入って挨拶をしたりしてみた。


そのまま5分くらいどんなものか見てみるが、

あまり魅力を感じない。

はい、次のVtuber〜。


とそんなことを続けていた。

正直俺は、面白くコミュニケーションが取れれば誰でもいい。と思っていたのだが案外そうでもなかったらしい。


もちろんその人達はビジュアルもよく、声もいい。リスナーとの掛け合いも面白いと言える。

ただ、そういう人たちは共通してあまりコメントを読まなかった。


そうなれば、俺の配信者と話したい。という欲求が満たされない。



「意外と俺って欲求が高いタイプだったんだな。」

なんかよくわからないけど少しだけショックを受けた。


「…いや、ショックを受けてる場合じゃない。

俺はおもしれーリスナーになりたいんだよ。

だから色んな人を見て少しでもそのための勉強がしたいんだ。」


そう自分に言い聞かせて、次々と配信者を取っ替え引っ替えしていった。(変な意味ではない)


「……ん?」


その最中、俺の手は1人の配信者の場所で止まっていた。


不思議と聞き馴染みのあるような、ないような、そんな声。

気づけば俺は、何十分もその人の配信に入り浸り続けることになる。


…その、Vtuberの名前は


白羽万由里しらばねまゆり』。



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白羽万由里ちゃんは

第5話にて一度名前だけ登場しています。

気になった方はこちらもどうぞ!














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