第7話 チリツモニカのストリーミング②

『━━次の話題いくよ!』


晩御飯は何を食べた?という流れが終わり、

モニカちゃんは次の話題に移ろうとしている。


なら、次こそスイーツの話を━━


『あ!なーくんが気になってるって人、私も気になる!

前別れたって言ってたよね?

また新しい恋を見つけたってことぉ〜〜?

いいね。良かったじゃん。


…てゆーか、なんなら皆んなの恋バナ聞かせてよ!最近私を知った人は知らないかもだけど、私人の恋バナ大好きなんだよね!


なーくんは早くその気になってる人とどうなってるかコメントしてね。』



━━どうやらモニカちゃんはコメント欄を遡ってNa-kunさんのを拾ったようだ。


まぁ、別にいいか。このままいけば次読まれるのは俺のコメントだし、俺も人の恋路を聞くのは好きな方だからな。


ヨシオ:

コイバナ……?ナァニソレ……?(何度目?)


漢検2級持ち:

恋愛は楽しいぞぉ……。

友人が駆け引きしてるの見るの超面白いからな。

ま、もうすぐ俺の青春は終わってしまうんだけど……。


ふゥちゃん:

惚気聞かされても嬉しくないっしょww


山里のタケのこ:

↑おや?それは挑発かえ?


さくらだみろあき:

もう妻がいる身としては皆の恋愛気になるなw



へー。結構彼女いる人多いんだな。

俺も彼女がいたことが無いわけじゃないけど、入隊前に別れたしなぁ…。


でも一応会話に入るためには言っておくべきか?


…別に自衛隊の秘密を話すわけじゃないし、大丈夫かな。



『うんうん。ヨシオは早く相手を見つけようね〜。


…あぁ!漢検2級の言ってることわかるよ。

私も最近、友達が好きな人がいるんだよねーって相談してきてさ。こうすれば私のこと心配してくれるよね?とか、こうすればキュンとくるよね?とか。

そんな話ばっかりしてる!


恋愛はさ〜、やっぱり付き合う前がなんやかんや楽しいんだよね〜。


……ふうちゃんは彼女とどんなところにデート行くか書いといてくださ〜い。惚気にも価値がありまーす。


へー!みろあき結婚してるんだ!いいね〜。

よければぜひ!奥さんと私の配信見てね!』



Na-kun:

いやー。めちゃくちゃ趣味が合うし、俺が言うことにそれめっちゃわかる!って共感してくれるし、めちゃくちゃ楽しいんよね。


『えー?!

めっちゃいいじゃん!なーくん前から自分の趣味は理解されないから、前の彼女さんと居ても楽しくないって言ってたもんね。』



Na-kun:

そう!

元彼女が悪いわけではないんだけどさ、やっぱり趣味を話した時に理解されなくて、もう辞めてって言われた時から全然楽しくなかったの。


漢検2級持ち:

なーくんの気持ち分かるぜ。

俺の今の彼女は趣味を理解してくれてるから、やっぱり一緒にいて楽しいもん。


さくらだみろあき:

しかし、結婚となれば話は変わってくるわけで……。


でもその時を楽しむのも大事だし、趣味を理解してくれる相手がいるならそれも大切にしないとね。


ヨシオ:

俺も好きな人とか気になる人いたらめっちゃアタックしたなぁ……。

一度も成功しなかったけど。


だからなーくん頑張れ!!




……いつのまにか、1人のリスナーが話の中心

になって配信が進んでいる。

彼がコメントをすれば、その配信にいるほとんどの人がそれに反応し、モニカちゃんすら自分の意見を話している。


そこで急に、俺は面白いと思った。

かく言う俺も、Na-kunさんに対してのコメントを打とうとしていた。

…自然と、その話題に関してのコメントをしようとしたのだ。


もちろん、モニカちゃんがその話題について触れたこともあるが、モニカちゃんが拾いたくなる。話題にしたくなるコメントをすることで、

Na-kunさんはその時間の中で主人公になれていた。


…なんで俺は分析なんかしてるんだろ。



Na-kun:

だからさ。


この間デートに行ってきた。




『……えぇ?!マジ?!


っ!あっはははは!!


…待って?行動早くない?!

今からどんな感じでアタックして行くかって流れだったじゃん!

え?もう行った後なの?めっちゃ気になるじゃん!』



ねりまきの翁:

いや行った後かい!ww


漢検2級持ち:

えぇ〜ww


さくらだみろあき:

すでに頑張ってたとは。笑う。


ふゥちゃん:

なんか俺の惚気話よりもおもろそうな話出てきたな。

気になるよね〜〜!



うっわ上手い!

敢えて、デートに行っていたことを隠してコメントすることで、Na-kunさんに対する応援の気持ちが皆に出てくる。


しかしそれは、頑張ってねー。だけで、

話題が終わる可能性も秘めているのだ。


そこに、「実は既にデートしてきたんだよね。」という事実を知らせることにより、


いや、既にアタック中かい!


という気持ちや、


それはそれでどうなったか気になる!


という気持ちにさせることができる。


いやー。上手いわ。もう俺今日ROMる(コメントをすることなく、閲覧のみを行うこと。他にも意味あり。)ことにして、配信の中心になることができるようなコメントを研究してみることにした。


……だって、なんか羨ましいじゃないか。



『え。なーくんさぁ。

多分ここにいる人みんななーくんのデートした話気になってるからさぁ。早く教えてよ。』


その時、机をだんだん叩く音をマイクが拾う。

どうやら相当モニカちゃんは気になっているみたいだ。


『いやー。ほんとに。行った後かい!って言いたくなるよね。』


ヨシオ:

気になってる相手と、すでにデートをしてるということは、もしかしてなーくん、結構なプレイボーイ??


『ふっ!

プレイボーイ…ふふっ!


かもしれないなぁ〜。

なーくん結構ガツガツ行くタイプなんだね〜。』


山里のタケのこ:

前の彼女の時は恐る恐るって感じだったのになw


ねりまきの翁:

へー。なーくんさんって女性で態度変えるんすね。幻滅しました。そのテクを俺にも教えろください。


漢検2級持ち:

でも気になる人にアタックするのって簡単じゃないから普通にすごいとは思う。

なーくんさんすごい。


さくらだみろあき:

もう気になって寝れねぇわ!


ふゥちゃん:

なーくんさんコメント早く!!明日早いんだよ!!



もうすっかり配信にいるみんなが、Na-kunさん

のコメントを心待ちにしている。


そして俺も、普通に興味津々だった。










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