第二章
第11話 マドレーヌ市長
ヴィクトルはマドレーヌ市長のもとを訪ねた。
市長は穏やかな顔をした初老の紳士だった。
「ようこそいらっしゃいました。ブライユ警部。噂は聞いています」
噂。きっとこれまでの業績などだろう。17歳で警部になるという異例。先の統治者もこんな昇進を果たしていたなとヴィクトルは思い出した。
「マドレーヌさん。入院しているユーフラジーについて伺いました」
「ああ、私の病院にいますね」
「私が彼女の世話をできるよう、仕事の調整をしていただきたいのです」
「ほう、あなたが」
市長は意外そうに眉を上げた。
「それはどうして」
「知己なんです」
「それはそれは」
昔からの知り合いというと少し語弊があるが、他に言葉が見つからなかった。
「よろしいでしょう」
ヴィクトルは承諾が得られ、安堵した。
市長は、ただし……と付け加えた。
「こちらからもお願いがあります」
アリーに巣食う犯罪集団『パトロン・ミネット』が最近幅を利かせているという。窃盗は当たり前。強盗、殺人、強盗殺人。アリーの街は他のどの地域より治安が悪かった。
ヴィクトルにはその撲滅、ひいては頭となる四人を逮捕してほしいという。
ヴィクトルは承諾し、警察署に帰った。
警察署の窓からカラスを呼んだ。
資料にある特徴の人物を探してほしいと。
アリー中のカラスに手伝ってもらい、発見し、逮捕する。
早速一羽のカラスから連絡があった。
洒落た身なりをした長身の男がスリをしていたと。
資料を見るに、モンパルナスという青年らしい。
ヴィクトルは支度し、向かった。
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