#20 仲間じゃない

「…なぜ、ここにいる?」

「なぜって、酷いなぁ。兄ちゃんが話しつけとってくれとるもんやと思いよったけど、全然ダメやんけ!」

「⋯俺は最初に言ったぞ。ヘインが許すかは分かんねぇって」

「いやそうやけど!こんな事になるとか───うっわ!あっぶな!」


私たちが修行から帰ってきてテントに入るとレツハさんが困った表情でこっちによってきて、話をしてきた。それがこのフードの男が同行するというものなのだが⋯


「出ていけ。」

「なんでや!アンタらの身の安全の確保のために───うわ!ちょ!一旦その棘をやってくるのやめいや───!」

「余計なお世話だ。」


こんな感じでヘインが全く許してくれない。まぁ怪しい感じはするから仕方ないのだけど…にしても、この人はあまり悪い人には見えないんだけどな…


「わかった!わかった!ワイからなんか対価支払うから!それで堪忍や!」

「ならここからでていけ。それが対価だ」

「全く話通じんやんけ!どわっ!?」


ヘインがさらに棘を刺そうとする。それを紙一重で避ける男…あれ?フード外れてる?


「…ヘイン、一回攻撃を止めてくれ。説明ができねぇ。」

「…仕方ない。」


そうレツハさんに言われると、ヘインはすっと、棘をゆっくりおろした


「警戒心…強すぎやんな…えらいこっちゃ…」


男は息を切らしながら、そういう


「俺から説明するぜ。こいつの名前は『ソルグロス・フュズィーク』。俺たちの身の安全を確保するために同行するそうだ。情報も教えてくれるらしい。」

「それもそうやけど、個人的にあんたらを鍛えたい思うとるんや。あんたらはみんな“種”をもっとる。せやから強くしたい思うてワイから接触したんや。この同行するっちゅう判断は独断。それだけは把握しといてくれな」

「まだ許可してないんだが…」

「許可せざるおえん状況やろ。それにわい自身も理解しとるで。これは…」


少し貯めてから男は


「これは“仲間”ちゃうってこと。あくまでワイは“協力者”や、そこら辺の線引きはしっかりしとるつもりやで。」


ソルグロスがいつになく真剣な顔をしてそ言う。圧があったが、少なくとも悪い人ではなさそうだった


「まぁ、いつか仲間になってくれたら嬉しいんやけどな。」


おちゃらけた表情に戻り、ソルグロスがそう言う。


「…わかった。同行を許可しよう。だが勘違いするな。俺はお前を信用しているわけではない。」

「ホンマか!?許してはくれるんかいな!?」


ソルグロスが感激して顔を驚かせながらそう言う。⋯どんだけ勧誘が苦境だったんだ⋯


「⋯強くしてくれるという話、嘘では無いな?」

「当たり前や!許してくれはるんならいくらでも教えたる!情報も、ワイが持ってる戦闘技術も!」


なんか、態度が一気に⋯いや、いつもこんな感じだったか。強くしてくれるって、一体どんな戦闘技術があるのだろうか。


「なら明日から教えてもらおうか?俺達もできるだけ、早く力をつけたい。」

「全然構へんで!全部⋯とまではいかんくても、できる所まで教えたるわ!」


ジェスチャーしながら元気に答えるソルグロス。⋯何度も言うが、怪しい。でも悪い人では無さそうだ。


「教えられる前に、1つお前に聞きたいことがある。」

「お?なんや!」

「お前はその『異形衆アンダース』っていう組織の中で何番目に強いんだ?」

「あー⋯どうなんやろ。⋯4番目⋯いや、3番目か⋯?んー⋯分からへん!でも、組織の中でも屈指の実力者や言われとるで!」


構成員が何人かは知らないが、屈指の実力者ということは1桁なのだろう。おそらく強さで言えば、直感で感じる限りヘインよりも圧倒敵に強いレベルであることは間違いない。


「⋯なら少しの間、俺たちのことを鍛えろ。⋯俺が求めるのはそれだけだ。」

「兄ちゃんどえらい程クールやんな。全然ええで!ビシバシ鍛えたるから覚悟しときや!」


ソルグロスは元気にそう答え、にっこりと笑う。


「じゃあ私たちは気になることがあったら色々聞けばいいんですね。」

「そういうことやな!教えれる情報は全部教えるつもりやから、遠慮せず聞いてもろうて構へんよ!」


そう言ってソルグロスは胸を張る。今は正式な仲間ではなく一種の小さな”雇用”だ。とはいえ、一緒に行動する人が増えるのには変わりない。これからはさらに騒々しくなりそうだ。と、思い、私は少しだけ胸が踊ったのであった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

なんか短いなと思ったのでレツハ、クレア、ソルグロスの解説とかしていきますね


・名前『レツハ・ブラド』

・異形「爆燃血液」

⋯自身の血が可燃性になる。付着した所から燃え上がり、血に含まれているヘモグロビンが酸素を排出するため、酸素がないところでも短い期間だが燃え続ける。血の濃度が濃ければ濃いほど熱の温度が上昇し(動脈血が一番熱く、静脈血が一番温度が低い)、最終的には爆発に転用したりすることも出来る。

・性格

⋯好戦的で活発な性格。器が大きくめったのことでは怒ることなく、基本笑って済ましてくれる。

・容姿

⋯赤い色の髪に、赤色の眼


・名前『クレア・シュタール』

・異形「鉄血」

⋯血の中にある鉄分を変質させることが出来たり、鉄分を鉄にすることも出来る。自分から遠く離れた血も操作することが出来る。

・性格

⋯活発で元気。人当たりもよく、愛想がいい。人懐っこい

・容姿

⋯ ベージュの髪に、


・名前『ソルグロス・フュズィール』

・異形「増幅殖腕」

…皮膚を変形させ腕をはやすことが出来る。腕から腕をはやすこともできる。変形させた腕は筋肉の密度も変形することが出来る。

・性格

⋯飄々とした性格で、いつもおちゃらけている。能天気。

・容姿

…白髪の糸目。目の色は紫紺

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る