第167話 迫りくる悪魔(4/20)

僕達がこの小学校に訓練の為に拠点を構えてからもう少しで二ヶ月以上になる。

あれからも戦闘訓練は順調で、今では初期メンバーのほぼ全員が一通りの訓練を終えている。


今は、パパと中高年主体の守備隊が熟練度を上げるための継続的な訓練と、半月ほど前に受け入れたショッピングモールに置き去りにされた人々の訓練を追加で行っているところだ。


モールに置き去りにされた人々は、予想通りパパから確認された理念への回答にYesと答え、ホワイトフォートの一員になったんだ。


モールグループの受け入れ当初は小学校グループとの折り合いも悪く、険悪な雰囲気があったけど、パパの指示で島田さんを含むモールグループの全員が小学校グループの子供達に謝罪を行う事で、なんとか理解を得た形だ。


小学校グループの中学、高校生達も、積極的に子供達を厄介者扱いして追い出そうとしたのは、モールから物資を持ち逃げした大津だと言う事は理解してくれているので、最終的には折れて和解してもらえたみたいだった。


そして島田さんがモールグループの責任者となった。

いざという時には盾になって皆を守りたいとの事。


少し事情を聞いたんだけど、島田さんは奥さんと小さい娘さんを所属する組織の抗争で亡くしたらしく、それをずっと自分のせいだと後悔しているみたいだった。


パンデミック後にショッピングモールで受けれてもらってからは、罪滅ぼしで皆の生活のために大津に従って言いなりになっていたけど、置き去りにされた人々を見て目が覚めたらしい。


いつか死んで妻と娘に会った時に、あれから自分は頑張って人の為に働いたと胸を張って言いたいと寂しそうな顔で笑っていたんだ。





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(東堂達也)


俺は地獄から舞い戻った復讐者だ。

冴賢に殺された俺は邪悪な神達の力でこの世に舞い戻った。


その冴賢をこの手でぶっ殺して、この世をさらなる地獄に変えてやるぜ!


俺は手下どもを使い、この前やっと冴賢の居場所を見つける事が出来た。

そして奴がいるだろうと思われる高い壁に囲まれた街を、ゾンビ共を使って包囲したんだ。


まだまだ全部じゃねえが数百万体のゾンビだ。


なぜだかその高い壁は壊せねえが、囲んじまえば奴らは出られねえし大量のゾンビを積み重ねちまえば、いずれは上からも入れるはずだ。


俺やジェネラル、脚力の高いマンイーターなら、補助してやれば跳躍で壁を飛び超えることも出来るし、奴ら自身の為に何処かに用意してある入口を壊しても良いだろうと思った。


空から逃げ出す奴がいるかも知れねえが、その時は何か物を投げて撃ち落としてやるつもりだ。


案の定、ヘリがゾンビどもを攻撃に来たが、俺はそいつ等にゾンビを大量に投げつけて撃ち落としてやったんだ。


ここから逃げ出そうとするヘリは四人のジェネラルに任せた。

奴らはマンイーター以上に強く、色んな能力を持ってるみたいだ。


中でも、婦人警官の格好をして顎が割れた女のジェネラル=呼び名はデルタだが、そいつは硬質化させた指を銃弾の様にして高速で飛ばせるらしい。

それでヘリはほとんど撃ち落とす事が出来た。


デルタは本当に銃が扱える婦人警官だったのかも知れねえな。

ジェネラルは皆が再生能力を持ってるみたいだが、デルタの撃って飛ばした指も直ぐに再生するらしい。


その後、見つけた入口からゾンビ共やマンイーターを突っ込ませ、高い壁に囲まれた街を蹂躙していった。


少しして俺も壁を飛び越えて街中に入ると、中はもう蹂躙されつくして生きている奴はほとんどいなかった。


なんだよ、冴賢がいるんじゃなかったのかよ。

これじゃあ拍子抜けだ……


だが俺は生き残った奴を見つけソイツに冴賢の場所を尋ねると、どうやら北に移動したらしい事がわかった。


俺は直ぐにアルファとベータに指示して捜索を開始させた。

多分、ここと同じ様な壁を築いているはずだ。

それを探せと。


俺は今回の教訓を活かし、次に街を見付けたらゾンビ共に包囲させるのは良いとして突っ込ませるのは止めにした。


奴らは俺の指示を理解できなくて全てを目茶苦茶にしちまうからだ。

そして数が多いから良く分からなくなっちまう。


次はゾンビで周りを囲った上で俺様とジェネラル、少量のマンイーターで行くことにするか。


アイツの絶望した顔を見ないとな!


それから二日後、捜索に出したジェネラルから連絡があった。

高い壁がある場所を見つけたと。


今行くぜ、待ってろよ。


冴賢!

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