第157話 小学校での日々(2/10)
小学校で暮らし始めてから一週間ほど経った。
パパ達も順調に戦闘訓練をこなしていて、守備隊の中高年の皆さんはもう小銃の取り扱いにも慣れてきた感じだ。
防音壁はあるんだけど、どうしても訓練の音漏れは防げないので、外壁に集まってくる感染者は定期的に殲滅している。
結果的に、この辺りはかなり感染者が少ない安全な地区にもなっていた。
高校生達も交代でハンドガン講習から慣れていっている。
僕達救助隊改めサイコ部隊も少し方針を変え、念のため皆と同じ様に銃の訓練をする事になっていて、虎太郎さんも体の大きさに合わないハンドガンを四苦八苦して撃ち込んでいた。
(バン! バン!)
「虎太郎君の弾、全部外れてるんじゃない?」
「うるせえぞ茜。俺はこんなちまちました武器は好きじゃねえんだよ」
綾音さんや、茜さんはハワイの観光客の様に楽しそうに行っており、結構上手に的に当てているような感じだ。
でもやはり一番上手なのは悠里さんだろう。
(バン! バン! バン!)
「凄っ! 悠里さん、全部ほぼ真ん中じゃない! 上手〜」
「ふふっ! 茜さん、ありがとう」
飛び道具だからか、弓と通じる何かがあるのかも知れない。
最初以外はあまり的を外している様に見えなかった。
総じて高校生の男子は楽しそうに撃ち込んでいるけど、明日奈さん、莉子さん、麗華さん達の女子勢は恐る恐るといった感じだ。
(バン!)
「きゃあっ!」
(バン!)
「ひっ! 怖あ!」
訓練はしてもらっているけど、この高校生の女子達が自ら戦うといった状況にならない様にしなければと思う。
ーーーーー
小学校の一階に作った源泉かけ流しのお風呂は皆にもの凄く好評で、一日の疲れが吹っ飛ぶと毎日利用している人も多いみたいだ。
温泉だからか肌の張りとかも良くなるらしい。
あれから追加で一階の一室をランドリールームにして、大型の全自動洗濯機も何台か配置しているので、これを使いにくる人達も多い。
洗濯機はキャンピングカーに設置してある物より大きくて使い勝手が良く、小学校グループとも共同で使っている感じだ。
美容院も髪を染めたりも出来るから利用者が多く、特に小学校グループの人達はずっと髪をカット出来ていなかったので、優先して利用してもらっていた。
集約店舗も好きな食材を選べるので皆が笑顔で買い物をしているし、食堂も食事とは別に日替わりのスイーツメニューを追加したので、若い人達の中では憩いの場にもなっている様子だ。
川上先生の治療院は訓練後に腕や腰、肩の痛みを訴えて来る人が多いとの事。
酷い人は僕が治療しても良いんだけど、大方の人は湿布薬を貼るだけで良いらしかった。
学校も中学生以下の子供達は毎日笑顔で通っていて、勉強の方も順調の様だ。
悠里さん麾下の高校生達が営むパン屋と食堂からお昼に給食が届くので、それを楽しみにしている子も多いとの事だ。
食育は大切だから、今までの分も沢山食べて大きくなって欲しいと思う。
以前声を失っていた真子ちゃんは、回復してから声の出し始めは少し枯れたハスキーボイスだっけど、今は治ってきたのかもっと可愛らしい声に変わっている。
自分専用の暖かいベッドがあるのが嬉しいのか毎日楽しく暮らしている様だ。
「ひさとお兄ちゃ〜ん!」
「あっ、真子ちゃん! 今日も元気だね!」
僕にも、会うとこうやって走って来て抱き着いて来てくれる感じで懐いてくれている。
雄二さん達の小学校グループの高校生達も、皆を養わないとという重圧から解放された為か、年相応に騒いで凄く楽しそうに見える。
「茜ちゃ〜ん! 俺と食堂に甘い物食べに行こうよ〜?」
「行かないって言ってるでしょ!」
直哉さんは茜さんをちゃん付けで呼んで、少々ぶっ飛ばされてもちょっかいを掛け続けているらしい。
こういうのも高校生らしくて良いだろう。
そう言えば雄二さんは麗華さん有紗さんの二人と付き合う事になったらしい。
雄二さんも可愛い女子二人に言い寄られてまんざらでもなさそうだ。
そういうハーレム的な状況なのが僕だけじゃなくなって少しほっとしている。
妹の玲奈は最近は光司君と仲が良いらしく、良く食堂で一緒にいるところを見るようになったけど、早苗ちゃんとはどうなっているのか少し気になるところだ。
もしかしたら光司君も僕達の様になるのかも知れない。
この様に、戦闘訓練の為に一時的に滞在しているだけの小学校だけど、ある程度は生活環境を整えて僕達は楽しく生活をしている。
ーーーーー
一旦小学校グループの生活環境作りが落ち着いたので、パパからの要請で今日からは年配の人達や主に家族連れに向けて、小学校の旧校舎の住宅化を始める予定だ。
せっかく生活環境を整えたので、何かの期限がある訳でも無いし、無理はせずに数ヶ月ぐらいはここで暮らしながら訓練する事になったからだ。
キャンピングカーといえど長期間暮らすにはやはり手狭なので、主に旧校舎を補修しながら少しずつアイジスに改変してもらって住んでもらう感じだ。
(マスター、西の外壁に二十名の訪問者がいます)
朝食後、早速作業に取り掛かろうとした僕にアイジスからの報告が上がってきたんだ。
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