第156話 白蛇学園の再開(2/4)

戦闘訓練場を作り終えた僕は、お昼を挟んでホワイトフォートの学校の環境整備を行う事にした。


対象となる学生は幼児5名、小学生20名、中学生18名だ。

以前から教師担当だった明日奈さん、莉子さんと小学校グループのリーダーである雄二さんを交え、教室分けや教師の担当などの割り振りを決めてゆく。


結果としては、幼児組、小学生低学年組、小学生高学年組、中学1・2年生組、中学3年生組の五つに分ける事にした。


それとパパからの指示で半年以上は卒業までの期間を伸ばす事を説明する。

これはパンデミックで勉強出来なかった期間を吸収する為の対応だ。


少しの話し合いを経て、教室や教師の担当は下記の様に決定した。

・幼児組……二階の教室で小学校グループの有紗さんが担当

・小学生低学年組……二階の教室で莉子さんが担当

・小学生高学年組……三階の教室で小学校グループの麗華さんが担当

・中学1・2年生組……三階の教室で明日奈さんが担当

・中学3年生組……三階の教室で悠里さん麾下の勉強が得意な高校生が担当


後は決めてもらった教室を回って、各教科の教科書やノート、文房具などを人数分配置していった。


幼児には絵本や、ひらがなを勉強出来る教材や遊び道具を取りそろえる。

このご時勢ならもう英語教材は必要ないだろう。


以上の準備だけ行って、後は教師役の皆に任せる。

とりあえず学校は明日からの稼働とし、今日は生徒を集めて顔会わせだけ行なうみたいだ。


これで明日から、白蛇学園の再開も行えるだろう。





-----





僕は次に一階に集約店舗を作りに来た。


恐らく軽く一か月以上はここに留まると思うので、僕がキャンピングカーを回って物資を適当に補充するよりも、店舗を作って自分達で好きな物を買いに来れる様にした方が精神的にも良いだろうと思う。


早速、小谷静香さんを呼んで旧職員室を店舗に改造してゆく。

永続的な店舗ではないので、各商品を少しずつ配置できれば良い感じだ。


一旦フロアにある物全てをアイテムボックスに格納し、小谷さんの要望を聞きながら冷蔵庫や冷凍庫、商品棚などをアイジスに力を借りながら配置・改変していった。


僕の電操能力エレクトロキネシスで学校全体の電気は通じているので、後は商品を小谷さんの指示で配置する。


この後は小谷さんが自グループの人達と交代で運営して行ってくれるみたいだ。


この要領で、小学校の一階には集約店舗、美容院、パン屋、治療院を作成した。


美容院も旧ホワイトフォートで携わっていた人達が何人かいたし、パン屋も悠里さん麾下の高校生たちが交代で担当してくれるはずだ。


治療院は川上先生の居場所となるけど、常駐はしなくても良いだろうから必要最小限の設備にする。


そして体育館は食堂に改修だ。


内装はあまり変えずに座席、テーブルを配置し、舞台部分を料理が出来るように厨房に改変する。


業務用の冷蔵庫に旧ホワイトフォートと同じような食材を入れ、厨房部分もアイジスに同じ感じに改変してもらった。


これで元々食堂で働いていた人達が運営してくれると思う。





-----





僕はパパに昨日のお風呂に続いて、校庭に戦闘訓練場、校舎に教材の整備、集約店舗、美容院、パン屋、体育館には食堂を作った事を報告した。


「おお、分かった。この短時間でよく作ったな」

「うん。結構疲れた感じだけど、改変とか配置もアイジスがやってくれるから最小限の消耗で済んでいる感じだね」


「そうか。ご苦労だった。後は俺が関係各所に通達しておくから、各自の戦闘訓練の合間の仕事としてもらおうか」

「うん」


「あとな……これは万が一の準備なんだが、お前、穴掘れるよな? 地下道みたいな物だ」

「う、うん。土操能力グランキネシスで穴なら掘れると思うけど……」


「そうか。なら、もし万が一ここが包囲された時の為に、脱出路となる地下道を用意しておいて欲しい。これは今すぐでなくてもいい」

「地下道?」


「ああ。前に感染者の大群がいたろ? 変異体も混じった。そんな奴らに囲まれてみろ、ここじゃ逃げ場がないぞ。無いとは思うが万が一の為の脱出路だ。旧ホワイトフォートでも、いずれは作ろうと思ってたんだ」

「なるほどね。昔のお城とかにあるやつか……わかったよ。今日はもうあれだけど、明日以降に作っておくよ。どの辺に繋げればいいの?」


「そうだな……戻るのも何だし、万が一の事を考えると西の山中だな。山道から少し外れた所にしてくれ。それと、出口に物資をある程度置いておくのを忘れるなよ。お前が直ぐに来れない場合があるかも知れないしな」

「そうだね……アイジスと相談しながらやってみるよ」


「頼む。言っておくが、お前は何があっても死ぬんじゃないぞ。お前は皆の……人類の唯一の希望だからな」

「うん。それは分かってるつもりだけど……」


「ふっ。まあ、備えあれば憂いなしという事だ」

「……うん」


とりあえずパパへの報告は終わった。


最後のパパの言い様に少しひっかる物はあったけど、明日はパパに言われた秘密の脱出路を作る事にしよう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る