おねだり
わたしは、今にも泣き出しそうだった。
だって、もう功太と一緒にいられないかもしれないから。
あー、わたし…なんで降参しちゃったんだろう。
ずっと耐えてれば…よかったかな…?
…いや、無理だ。
それに、功太だってわたしが心臓バクバクなの、知ってたかもしれないもんね。
…あぁ。
なんか座りたい。
どっかに身を全部委ねて、どっさり座りたい。
そう思っていたら、いきなりからだが…からだがっ⁉︎
えっ⁇
えぇっ⁉︎
えと、これは…
駅のホームでわたしは…功太に抱きしめられています…。
なんで?
立ってるのしんどいの功太わかったの?
だから、わたしを支えてくれてる⁇
…
功太?
わたしが功太に抱きしめられたままいると功太は、
「オレもほんとは、ずっとドキドキしてた。なんならオレは、初めからずっと。だから、オレの負けだ。」
といい、さらにわたしをぎゅっと抱きしめた。
え、まって!
わたしは、抱きしめる功太からペリっと離れて、
「え…、なら、ならわたしも初めからずっとドキドキしてたよ!なら、おあいこじゃん」
といい、また功太を抱きしめた。
…
ついテンションがバク上がりだったから周りの様子気にしてなかったけど…そこそこ見られてる…?
「あー…功太。ここは、駅だったね」
と言いながらわたしは、功太から離れた。
我に返った功太も、
「あー、だね…」
と恥ずかしそうにしていた。
その日の夕方、功太がうちにやってきた。
いつもは、わたしが功太の家に行くんだけど、今日は功太が来たからなっちゃんはすぐにピンときたみたい。
「おじゃま虫は、部屋に入ってるねー」
とニッコリした。
さすがなっちゃん。
やっぱりなっちゃんってすごいなぁと思った。
「ねえ、功太」
「うん?」
「なんでなっちゃんじゃなくてわたしを好きになってくれたの?」
「…そ、それは香月がおっちょこちょいでその…守ってやりたいってか…うん。なんかそんな感じです」
と恥ずかしそうに答える功太。
…
あー…、なんか自分から聞いたくせにわたしまで恥ずかしいんだけどー…
「あ、ありがとう」
と恥ずかしいながらもお礼を言った。
「おう。」
と功太も恥ずかしそうに答えた。
キャ〜、恥ずかしいー‼︎
功太とまさか…まさかこんな日を迎えられるなんて〜。
「ねぇ、功太」
「なに?」
「朝のやつやって」
「はぁ⁉︎いや…だってだれかにみられたりしたら…」
「むぅーっ…」
わたしがむくれると功太は、
「しゃーねーなー」
と言いながらもギュ〜ってしてくれた。
「ありがと」
と言いながらわたしも功太にギュ〜をした。
続く。
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