電車
わたしの制服姿を見て功太は、まさかな発言をしてきた。
「かづ…似合ってんじゃん」
と。
⁉︎
えっ?
えぇっ⁉︎
中学の時は、言ってもらえなかったそのお言葉。
なっちゃんには、いいじゃんって言ったけど、わたしは言われなかったその言葉…いまでも忘れていないお言葉をまさか功太からいただけるなんて思いもしなかった。
嬉しいわたしは、
「えっ、あ…ありがとう。こ、功太もカッコいいよ?」
と返した。
「なんで疑問系なんだよっ」って突っ込まれたけど、もう嬉しすぎてそれどころじゃなかった。
新しい制服で功太と並んで歩いているとなんだかドキドキする。
「ねぇ、功太」
「なに?」
「切符…買い方わかる?」
「は?そんなのわかるわ」
「あー、だよね」
「どうした?もしかして緊張してる?」
「えっ‼︎」
功太と並んで歩いてるのドキドキってわかっちゃった?
「オレも新しい環境少し緊張する」
と言いながらスマホを取り出した。
あー…、そっちか。
よかったー。バレなくて。
なんて安心していたら功太がいきなり、わたしの変顔の写真を見せてきた。
「えっ⁉︎何その写真…⁉︎」
「あー、前にみんなで出かけたときのかづの大口あけてハンバーガーたべてるやつ」
「はあ?消してよ」
と携帯を取り上げようとしたら、
「オレ、この写真みると笑っちゃうんだよなー。」
とニンマリした。
「だから、消しなさい‼︎」
「でも、元気でる」
…っ。
そんなこと言われたら…
強く消してって言えなくなるじゃん…。
くーっ…
わたしもいつか功太の変顔隠し撮りしてやるんだからー‼︎
いつかっていうか、近いうちに絶対とってやるんだからぁっ‼︎
と意気込み満タンで、電車に乗り込んだ。…んだけど…混みすぎじゃない⁉︎
時間帯が悪いってのが一番あるよね。でも、この時間がベストなんだよなぁ。
⁉︎
えっ?
んっ⁉︎
いきなり功太がわたしの向きをくるっと変えて功太と逆向きになった。
えっ?
何?
…
あー…なるほど。
窓に功太の顔がうつりどういう状況かやっとわかった。
功太は、満員電車でわたしを守ってくれているんだ。
ドキドキがとまらない。でも、…功太が一緒でほんとによかった。
電車を降りる時も功太が誘導してわたしの手をひいてくれた。
手…繋いでる。
「功太。ありがとう。」
お礼をいうと功太は、わたしの手をパッと離した。
「あぁ。お礼は、変顔写真でいいぞ」
「やだー」
フッと功太は、笑った。
あー、今の顔カッコよかったな…写真におさめたかったなーとつくづく思った新学期の朝だった。
続く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます