お祭り
あのー、さっきから功太…ずっとわたしの手握ってるんだよね。
「あの、功太…手。もう大丈夫だから」
というと功太は、
「人多いし、かづきはすぐ迷子になるだろ。だからオレが今日一日繋いでてやるよ」
と恥ずかしそうに言ってきた。
すると舜くんも
「なら、オレはなつきちゃんと」
といい、なっちゃんの前に手を差し出していた。
なっちゃんは、恥ずかしそうに
「じゃあ、お願いします。」
と手を繋いだ。
ごめん、功太…
ほんとはなっちゃんと繋ぎたかったよね。
申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「ねぇ、功太」
「なに?」
「イヤだったら手離してもいいからね。」
すると功太は、
「イヤじゃないよ。」
と言いながらふいっと顔を逸らした。
…
なんで目みてくれないのよ。
…
お祭り会場は、屋台が多くなるにつれて人混みもどんどん増えていく。
とりあえず、わたしと功太。
なっちゃんと舜くん二人づつ別行動して後で合流することになっている。
「あ、わたしタコ焼き食べたい!」
「じゃ、行くか」
「うんっ!」
「あ‼︎かき氷もあるよ‼︎きゅうりも‼︎」
「あー…、でもかづき腹壊すんじゃね?」
「なら、なっちゃんと半分こするから大丈夫だよ。」
とたくさん買い込んだ。
で、集合場所につくと…
「なっちゃん…」
「あ、かっちゃんと同じのばっかりだ」
と爽やかに笑った。
なっちゃんは、たくさん食べてもお腹が丈夫だ。
アイスの大食いは、さすがにお腹壊してたけどね…。
量はわたしの方が少し少なめだけど、食べ物の好みは一緒なんだよね…。
功太をチラリとみると呆れ顔で、
「オレが少し食べてやるよ」
とシートに座った。
…なんか、ごめん。
功太は、わたしと半分こするよりなっちゃんと半分こがいいよね…。
「功太…ごめんね」
「えっ、なにが?」
「すべて…」
「は?」
…
「だってさ、手繋ぎたくないのに手繋いでくれたし、食べ物もさ…」
少し無言になった功太。
そしたら急に、
「オレほんとにイヤじゃないし、はらぺこだから気にすんな」
とわたしの頭をポンッとして笑った。
「ほら、タコ焼きくれよ」
「あ、うん。はい、アーン」
「はっ、バカ…爪楊枝よこせってこと」
あぁ。
そうなんだ…
「えっ、なに⁉︎かづきちゃんアーンしてくれるの?」
いきなり身を乗り出す舜くん。
「えっ⁉︎」
…わたしは、功太にアーンしたかったのに。
アーンと大きなお口を開ける舜くん。
それを見た功太がわたしの持っていたタコ焼きをパクリとした。
それをじっと見ていたなっちゃんが舜くんにわたしのでよかったら食べる?と聞いていた。
すると舜くんは、
「えっ…そんな…そんな悪いよ」
とお断りしていた。
…わたしのは、食べようとしてたくせに。
へんな沈黙の後、花火がドーンと上がった。
続く。
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