しおれた心

 こーたーーぁっ‼︎

 

 机の下で悶々とイライラ爆発寸前‼︎

 

 抱き枕って…

 

 あぁ…、目の前で自分の好きな人が他の女の子に抱きついて…あんな…あんなこと…

 

 もう泣きそうだった。

 

 心は土砂降り。

 溢れ出す洪水みたいに大荒れな心…

 

 やめて…もうやめて…功太…っ。

 

 

 功太は、なっちゃんの耳のあたりをくんくんしたかと思うといきなりガバっと起き上がり後退りした。

 

 そして…

「えっ⁉︎かづきじゃないっ‼︎」

 と。

 

 するとなっちゃんがムクっと起き上がり、

「もー、くすぐったいからー」

 と耳をサワサワ。

 

「あ…えと、なんでオレの部屋ってかベッドに…あ、あと…なんか…ごめん。」

 と功太は、謝っていた。

 

 わたしのときは、やりたい放題なくせになっちゃんには、謝っている。

 

 やっぱり好きな人には、そんなに積極的になれないってことだよね。

 

 心がしおれつつも…わたしは、ドッキリ言い出しっぺなので元気よく、

「ドッキリでしたぁーっ‼︎」

 と机の下から登場した。

 

 それをみて功太が

「はぁ〜っ⁉︎ったくよー」

 と座り込んだ。

 

 ごめんとわたしが謝るとチラリとわたしをみたあと、

「んも〜…、マジかよー…」

 と言いい、またなっちゃんに

「マジごめん」

 と謝っていた。

 

「ううん。いいよ、気にしないで。ドッキリだし。」

 となっちゃんは、笑顔で功太にこたえていた。

 

 このドッキリは…成功なの⁇

 それとも不発…?

 

 よくわからないままドッキリは、終了した。

 

 

 そして落ち込んだ。

 心がポソポソにしおれてます…。

 

 家に帰りなっちゃんは、

「なんか…まさかあんなことになるなんてびっくりだね。こっちがドッキリかけられてるかと思ったよ」

 と苦笑いをした。

 

「…うん」

 元気なく返事するとなっちゃんがわたしに心配そうにどうした?と聞いてきた。

 

 なのでわたしは、

「なっちゃん…あのね、わたし…」

 とうつむくとなっちゃんは、心配そうな顔で、

「うん?どうした?」

 とわたしをみつめた。

 

 なのでわたしは…

 

「わたしね…、なっちゃんになりたい」

 というとなっちゃんがじっとわたしを見つめて、

「わたしは、かっちゃんになりたいよ。」

 とわたしをじっとみつめてこたえた。

 

 …

 

 二人して顔を見合いあっていたら

「「プッ」」

 と同時に吹き出した。

 

「おんなじ顔して何言っちゃってるんだろうね。わたし達」

 となっちゃんが笑った。

 

 そしてわたしも、

「だよねー」

 と笑った。

 

 でもさ、見た目は同じだけど性格も考えていることも全く同じなわけでは、ないのだ。

 

 みんなからは、そっくりとかおんなじって言われるけどさ…

 

 ほんとは、全然違う。

 

 好きな人も今食べたいものも。

 

 わたしは、功太が好き。なっちゃんは、舜くんが好き。そしてわたしは今、唐揚げが食べたい。

 

 でもなっちゃんは、きっと違う…

 

「なっちゃん、今何食べたい?」

「えっとー、唐揚げ」

 

 そこは一緒だった…‼︎

 

 続く。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る