い、いきなり

 その話を聞くと功太は、さっきまで赤かった顔が一瞬で青ざめた。

 

 そして無言…

 

「ねぇ、功太〜⁇」

 

 …だめだ。

 テストで悪い点とったときと同じ状態だ。

 完全に固まってるわ。

 

「あー、功太が石になっちゃったー。ならこうしてやるっ」

 

 ツンっ

 

「グハッ。」

 功太の脇腹をツンっとすると変な声を出す功太。

 

「あ、復活した?」

 と顔を覗き込むと功太は、いきなりわたしをベッドに押し倒した。

 

 トスン

 

 え?

 

 そして…

 

 ベッドに横になったわたしに…

 

 功太は、優しく…

 

 ギシッとわたしのすぐ横に手をついてわたしを見つめながら、

「かづき…、もうオレ以外みつめんなよ。数秒見つめ合うと恋に落ちる可能性があるんだぞ。それにボディタッチもしていいのは、オレだけな?いいか?」

 と、じっとわたしを見つめた。

 

 えぇ⁉︎こ、こうた…⁉︎

 こうたってもしかして、わたしのこと好きでいてくれた?

 

 なっちゃんじゃなくてわたしを好きになってくれた?

 やっぱりさっきみつめたから?だからこの一瞬で恋に落ちてくれた⁇

 

 功太…。

 

 そして…わたしは、

「うん。功太しか見ない。功太としか見つめ合わないよ。イチャイチャも功太とだけ」

 

 というと功太がわたしを抱きしめて

「ならいいんだ。かづき」

 と言いながらわたしをぎゅ〜って優しく抱いた。

 

 えぇえぇええ⁉︎

 こ、こうたぁ⁉︎

 

 なんか今日の功太積極的…と思いつつもわたしもギュ〜っとした。

 

 心地いい。

 

 

 すると功太が、

「はい、ごっこ遊び終了ー‼︎」

 といい立ち上がった。

 

 えっ?

 何⁉︎

 ごっこ遊び⁉︎

 

「んっ⁉︎ごっこ遊びって何よ⁉︎」

 

「え、だって…オレをだまそうって作戦だろ?あんなかわいい演技しやがって。だから、オレもキュン作戦した。どうだ、キュンキュンしただろ?なっ⁉︎……てか…かづき…もしかして…さっきのもしかして…まさかガチ⁉︎」

 と目を丸くする功太。

 

「はぁーっ⁉︎なにそれー‼︎バカじゃないのっ⁉︎いや…ガチなわけないじゃんっ‼︎あーあ、あんなに演技したのに騙されなかったかー」

 と強がり、帰ろうとしたら功太がわたしの手をつかんで、功太は…

 

「かづきが舜みてて舜が恥ずいって言ったのは、きっとお前がエロい目で見つめてたからだろ。気にすんなよ。」

 と頭ポンをされた。

 

 えと…

 

 これは、本気のアドバイスっぽい。

 

「う、うん…だね。そんなに気にすることないよね。てか、エロい目でなんかみてないからっ‼︎」

 といいわたしは、功太の部屋を後にした。

 

 

 功太ーー‼︎

 

 功太は、たまに冗談が本気っぽいんだよーーっ‼︎

 

 目がマジだからつい本気にしてしまうわたし…。

 

 あんなごっこ遊びはじめるとか、なんでわたしは簡単に受け入れてしまったのだろう。

 

 功太に優しくされると本気になるじゃん…

 

 しかも、功太…あんなかわいい演技しやがってって言ってくれた。

 

 

 なっちゃんのことを功太は好きだから何度も諦めようとしたけど…でも、功太ってたまに冗談抜きで優しくしてくれたりするから…だから功太がどんどん好きになるじゃん…。

 

 

 優しくしないでよ…。

 功太…

 

 涙をゴシゴシ拭いて家に入った。

 そして、

「ただいまーっ‼︎」

 と明るく振る舞った。

 

 

 続く。

 

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