映画

 次の日の朝、席につくと舜くんが

「昨日のドラマみてもしかして泣いた?」

 と聞いてきた。

 

 うっ…泣いたのバレたー。

 

 ここは、誤魔化そう…

 

「あー、うん。まぁ」

 と言いながらバックを机の横にかけてると舜くんは、

「昨日は、なつきちゃんが泣いてたよね?二夜連続ドラマで初日は、なつきちゃんが泣いて次の日はかづきちゃんが泣いたんだ。双子でも泣くポイントがやっぱちがうんだね。」

 なんていい、ニッコリした。

 

 …えと、舜くんは功太並みに観察力すごっ。

 

 そしてやっぱり功太も気づいていた。

 

 だけど舜くんがドラマみて泣いたらしいよ、って言っといてくれたから功太にも本当の事がバレなくて済んだ。

 

 ホッ…。

 

 でも、ホッとしたのも束の間で…なんとそのドラマが映画化されるらしいの。

 

 だから今度四人で行こうよってことになっちゃって…

 

 だから、なっちゃんにきちんと事情を話しつつドラマをみて二人で予習した。

 

 うん。いいお話だ。

 

 

 でも、なんでかっちゃんは泣いたの?って質問には、うまく答えられなくて…花粉症になったかもって慌てて誤魔化してしまった。

 

 なっちゃんは…舜くんのことで泣いたんだよね…

 

 

 

 

 きちんと予習したおかげで楽しい映画鑑賞になりそうだ。

 

 そしていざ映画館についたんだけど…

 

 席順…

 

 舜くんの隣がわたしでその隣がなっちゃんで功太。

 

 女の子は、外側じゃないほうが安全ってことでさ。

 

 …うん。そうだけど、ほんとは功太の隣がよかったな。

 

 でも、功太はなっちゃんの隣でよかったね…

 

 なっちゃんは、ほんとは舜くんの隣がよかったんだよね…。

 

 でも、下手げに提案するとね…。

 

 なのでわたし達は、大人しく座った。

 

 そして映画をみていたんだけどー…

 

 ビックっ‼︎

 

 …手。

 

 わたしは、贅沢にもひじ置きに手をかけていた。

 それも、舜くんのほうに。

 

 すると舜くんがそのわたしの手の上からそっと手を被せてきたじゃありませんかっ…⁉︎

 

 えー…っ。

 何これー…と困っているとそれに気づいたなっちゃん。

 

 ゔっ…

 なっちゃんは、一瞬気づいたけどパッと目を逸らして映画に集中しだした。

 

 もしかしたらなっちゃんは、映画をみてるフリをしているだけかもしれない。

 

 だって、好きな人が他の女の人にそんなことしていたらショックだもんね。

 

 でも…舜くんは、どういうつもりでこの手を…のせてきているのだろう。

 

 じっと手をみていると舜くんは、

「あっ!えっ⁈なんか柔らかいしあったかいと思ったんだよ!ごめん‼︎」

 と小声でいい手を離した。

 

 功太もなにやら二人が話してるなと思ったみたいだけど、すぐに顔を前に向けた。

 

 

 あー、なんだ。

 意味はなかったんだ。

 

 ホッと肩を撫で下ろした。

 

 そして、後でなっちゃんにもきちんと間違いだと説明しなきゃ。

 あと…それからは、もうひじ置き使うのやめようと心に決めた。

 

 暗闇ハプニング無事に終了…だよね⁉︎

 

 

 続く。

 

 

 

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