第二幕

歳をとるごとに嫌いなものが増えていく。

人と接することが大好きで入ったホテル業、どんどんと人間が嫌いになる。

他人の笑い声が嫌に心を撫で付ける。

あれだけ好きだった酒も、大きく体調を崩して以降嫌いになった。

夜の散歩も。

そういえばあれは6年ほど前だったか、大学生活最後のゴールデンウィーク、当時付き合っていた彼女と街を歩いていると知らない男性にポップコーンを貰った。

大学を卒業すれば結婚するとばかり思っていたがあっさりとフラれた。

それきり忙しくて女性、いや、人間と深く関わっていない。

ポップコーンも嫌な思い出として心に深く根付いている。

楽しかった思い出は、過ぎ去れば嫌な思い出へと変わるのだ。

ポップコーンはそれきり食べていない。

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マイク・ポップ・あの日の記憶 坂無さかな @Oreno_Gondola

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