第四章 一話 バチバチとチャレンジ
「うん美味しい! 」
柳は部屋で新しい珈琲を試していた。
この珈琲はいつものより苦く、味の奥深さもある。
「確かにいい珈琲だ。 」
この珈琲は椿が新しく見つけてきた珈琲だ。
椿が言うには珈琲が美味しい店は流行るとか、確かにいい飲食店は珈琲が良いことも多い。
「この珈琲なら入れてもいいかも...」
椿は変な物を見つけてくることも多い、
フンで出来た珈琲とか、どこかの地方料理や、
ゲテモノ料理。
椿はあぁ見えて変な物が好きだ。
椿はいつも、
「惹かれちゃってさ。」
こんな事を言って色んな物を買ってくる。
だから柳がいつも精査している。
良いものもたまにあるが大半は高いものや変なものだ。
精査をしていると柳の携帯が揺れる。
「統一マッチか...」
柳は電話で統一マッチの説明を受けた。
どうやら、新人の成長のために新しいジャンルに挑戦するイベント何だとか。
「挑戦って何なのかなぁ」
今回のジャンルはメイド。
柳が得意とするテーマだ。
しかもこれは編集さん達が言い出したのでは無く、作家さんが言い出したとか。
柳を狙った挑戦、
そう思える。
「まぁ、私はただ書くだけだし...誰が言い出したんだろう...」
気にならないと言ったら嘘になる。
自分で言うのも何だが、メイドならいちにを争う私に挑戦する、
それは勇気というか無謀というか、
とにかくそんなチャレンジをする自信がある新人の作家誰か居たかなと私は考える。
「まさかね...」
柳の脳裏にはある二人の作家が思い浮かんだ。
嫌、私はこの二人の作家しかしらないと思い出しだけだが。
猪瀬優也さんとエノーラさん。
この二人は冷静な人だという印象を受けた。
その二人が私に挑戦するとは思えなかった。
なら誰だろうと考えていると、
また私の携帯が揺れる。
携帯にはエノーラと表示される。
「もしもしエノーラよ!! 」
「そんなに大声出さなくても分かってますよ。 」
私はエノーラさんの大声に耳をやられながら会話を始める。
「私達の挑戦聞いたかしら? 」
「挑戦って...あれってエノーラさん達が!? 」
柳は予想外の挑戦者に驚き、携帯を落としそうになる、なんとかキャッチ出来たがまた落としてしまいそうな衝撃。
あの冷静だったエノーラさんが私に挑んできた?
「矢崎さんの入れ知恵ですか? 」
柳はそうとしか思えなかった。
あの人ならそういう事を吹き込みそうだし、言い出しそうだ。
「違うわよ!私達の意思よ! 」
柳はまた衝撃を受ける。
自分の意思で私に挑戦する、そんなに勇気があった人だっただろうか。
私も相棒の猪瀬さんのこともよく知っているが、こういう勇気があるように見えなかった。
「何でです?勝てないと分かっているのに」
これは慢心ではない、過去から来る自信だ。
彼女達と私がやりあっても負けることは十中八九ない。
そんなことは彼女も分かっているだろうに。
「えぇ、分かってるわ。貴方に挑んでも十中八九勝てないことぐらい。」
「ならなんで!? 」
梁には理解できなかった。
負けると分かっているのに武器を持って襲い掛かってくる。
私から攻撃したわけでもないのに、そういう時は逃げるか奇襲が普通だ。
それを真正面から勝負を仕掛けてくる...無茶というか無謀だ。
「でもそれは今の私達ならでしょ? 」
梁は彼女の自信を持った声に少し不快感を感じた。
私を越える?
前回負けた貴方が?
何も背負っていない少女が?
「えらい自信ですね。そんなに小さな壁に見えますか?それに私も成長しています。」
「いえ、見えないわ。高いベルリンのような壁に見えるわよ」
「それならどれだけ無謀か分かるでしょ?
何も持たずにエレベストに挑戦するような物ですよ」
柳はこの自殺志願者に呆れすら覚えた。
もっと冷静で凄い人だと思っていたのに残念だった。
「失望させちゃったかしら?でも私負ける気がしないのよ! 」
「なら統一マッチで勝負です! 」
面白い、そこまで自信があるのなら受けてやろう。そしてコテンパンにして、私の得意分野がどれだけ凄いものか分からせてやる。
と柳は小説を書くために自分の部屋に移動する。
「彼女ここまで熱くなる人だったのね...」
夢咲は原稿を書きながらさっきの電話の事を思い出す。
彼女はいつも心ここにあらずで何を考えているか理解できなかった。
小説においてはまるでマシーンのような印象を
受けさせられた。
だが違った、彼女は私達と同じ作家なのだと嬉しく思った。
「あれだけ言って負けたら大恥ね。」
恥なんて糞食らえだ。
元より一人では書けない駄目作家なのだ、そんな物元々背負っていると夢咲は失うものはないと考える。
だが、猪瀬は違う。
彼には才能がある私なんかと違って。
だから彼の為に負けられない。
そう思い、夢咲はパソコンの前に移動する。
「頑張るか...」
他者の為に頑張る、彼女には分からないだろう。
想う力は強いってこと彼女に分からせてやる。
そう気合いを入れ、私はほっぺを叩き気合いを入れる。
負けないために彼のために。
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