第306話 超珍しい

(胸を見られてた、かぁ…………多分、あたしの予想だと、絶対に下がガチガチに固くなってたと思うんだけどな~~~~)


ステラと比べて、下ネタに耐性があるレオナは絶対にイシュドがステラから出来ることはなんでもするし、払える物はなんでも払うと言われた時、下半身の物がガチガチに固まっていたと断言出来る。


「まっ、とりあえずあれよ。胸をがっつり見られてたんだから、女としての魅力は十分にあると思うよ」


「そう……なのかしら」


「そうよ。それともあれなの? イシュドに襲われてみたかった感じ?」


「おそっ!!??」


レオナに対して、そういった話に疎いステラとしては、そこまで想像してしまうと、頬が赤く染まり、蒸気してしまう。


「………………」


(ありゃ。爆発しちゃったか)


ちょっとからかい過ぎたと反省したレオナ。


「……解らない」


「ん?」


「だから、解らないって言ったな。なんて言うか……あぁいう男の人に出会ったのは、初めてだから」


「あぁ~~~~~……そう、ね。それに関しては、物凄く同感ね」


二人は、子供の頃からよく社交界に出席していた。

そのため、イシュドよりも多くの人間と出会ってきた。


良い意味で貴族らしい男、悪い意味で貴族らしい男、自分に自信がない男、自分に過剰な自信を持っている男、ちょっと暑苦しさを感じる熱い男、クールで無口な男、誰にでも分け隔てなく接する優しい男、優しい笑顔を浮かべているが胡散臭さを感じさせる男……等々、多くの男と出会ったきた。


しかし、その中にイシュドと同じ様な性格の持ち主はおらず……似た部分はあれど、強さまでは似てないといった男としか出会っていない。


(一年で三次職に転職するぐらい実戦経験を繰り返してきて、当然バカみたいに強い。狂戦士? の職業に就いてるのに、結構理知的な部分もあって、欲望に正直かと思えば、それを抑えられる理性も持ってる…………ん~~~~、マジで出会ったことがないタイプよね~~)


レオナとしては、抱かれるならあぁいう男が良いと素直に言えるが、勿論ステラはそんな大っぴらにそういう事を言えるタイプではない。


「……っていうかさ、それはそれでもしかしたら、うちらの国とイシュドたちの国の良い架け橋? になるんじゃないの」


「か、架け橋って………………ど、どうなのかしら」


そういった話に疎いステラではあるが、政治的な話が解らないほど蝶よ花よと育てられてきたわけではない。


「ほら、確か今はいないけど、ガルドブラ王国の王女がフラベルト学園に留学してるんでしょ。国の上層部も、警戒してると同時に、可能ならイシュドと……イシュドの実家と縁を結びたいって思ってる筈よ」


ガサツで大雑把なところがある肉食女子タイプのレオナではあるが、彼女も政治系の話が全く解らないタイプではない。


「…………で、でも。イシュドはまだまだ遊びたいから、責任を背負いたくないって言ってるんだよ」


「そうね。だから、その時まで待てば良いんじゃないの? 別に婚約者とかはいないっぽいから、仮にライバルがいたとしても、条件は一緒でしょ」


「それは確かに……って、話しが飛び過ぎてない?」


いつのまにか婚約云々の話になってることに気付き、何故か一周回って冷静さを取り戻してきたステラ。


「かもね。でも、色々と話を聞いてる感じ、ステラにとっては初めてこの男の人になら抱かれても良いかもって思えたんでしょ」


「っ…………そう、かもしれないのかな」


ぶっこまれると再び頬に赤みが戻るも、ステラは変に恥ずかしがって否定することはなく、自分の気持ちに関して冷静に答えた。


「でしょ。私は……ちょっと参考にならないからあれだけど、ステラみたいなタイプがそういう人に出会えるのは、超珍しはずね。もしかしたら、これから先一生ないかもしれないんじゃない?」


「そ、そんなに珍しいの?」


どこか若干脅されている気がしなくもない。

だが、実際にステラはこれまでの人生で、この男性になら抱かれても良いと思った者は一人もおらず……イシュドが初めてであった。


「とんでもない偶然とも言えるね。確かに、イシュドがいつまで遊びたいのかって不安はあるかもしれないけど、ステラはステラで多くの人を助けたいって目標があるでしょ」


「うん、そうだね」


「それを考えたら、寧ろイシュドの遊びたい欲が収まるまでは、自分の目的のために邁進し続けられるってことじゃない」


確かに、そうかもしれない……と思いはするものの、どこか上手く親友に乗せられてる様な気がしなくもないステラ。


その時、ステラはそもそも大事な話を思い出した。


「レオナの言葉も解るけど、そもそも私たちはイシュドの気持ちを知らないじゃない」


「? 胸をガン見してたんだし、その気は十分あるでしょ」


「い、いや、だからそ……そういう事をしたいのと、婚約とか結婚はまた別の話じゃないない」


ステラの言う通り、確かにそこに関してはまた別の話と言えた。


「ふ~~~ん? でも、私から見てもイシュドは本人が口にした、遊びたいから責任を取れないっていう、その期間が終われば十分責任を取ってくれると思うけどね」


「そう……かしら?」


「だと思うよ。だって、そもそも気に入ってる相手じゃなきゃ、あそこまで細かい技術や考え方を教えてくれないでしょ」


レオナから見ても、イシュドのストライクゾーンにステラが入っているのは間違いなかった。


「まっ、イシュドの場合妻が一人ってことにはならないと思うけどね」


「……そんな感じがするね」


「私の見立てだと、あのイブキって子が向こうのメンバーの中で、一番イシュドに気がある感じだね。デカパイって呼ばれてる子はちょっと解んないけど……クリスティールに関しては、まんざらでもない感じ? 後、政治的な目的で言えばカルドブラ王国の王女様もその中にいるわけだしね」


改めて教えられると、割とイシュドを狙っている女性は多い。

それを伝えられるも……その日のうちに答えが出ることはなく、ステラは夢の中へと逃げていった。

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