第256話 ある意味切腹?

「さらし付けててあれかぁ…………いやぁ~~~、俺らの感覚が正しかったら、マジで戦闘の際に邪魔っていうレベルの爆乳万乳だろうな」


「だな。ん~~~~……こっちの国の事情、アンジェーロ学園の事情なんて全く知らんが、絶対に何人か暴走した奴はいるんじゃね?」


「彼等への侮辱になってしまうかもしれないが、考えられなくはないな!!!」


教徒であろうとも、全員が全員……人間らしい欲を捨てて世の為、人の為と生きている訳ではない。


人によってはそれを生理現象だと口にする者もいる。

イシュドもそう言いたくなるのは解らなくもない。

解らなくもないが……結局は欲が膨らんだ結果、ムスコが元気になってしまうのだろとも言いたい。


(自分のムスコに貞操!!! みたいな刺青を入れてるやつとかならともかく、教徒であっても普通の男子高校生なら…………いやいやいや、絶対に無理だろうな。あの人の雰囲気も合わさって、絶対に何人か勘違いした人もいるだろ)


ステラは現在、色んな意味で学園のトップである。

だが、同じくイシュドを除けば学園のトップであるクリスティールがクールで優しいタイプのトップであるのに対し、ステラは活発寄りで優しタイプのトップである。


どちらが良い悪いということはなく、寧ろどちらも良いのである。


「……あれだな。フィリップ、レブト。切腹って知ってるか」


「切腹? 解らねぇな」


「聞いたことがあるぞ! 確か……そちらのイブキや、シドウ先生の故郷である大和で……確か、ケジメ? と言った形で行われる自死、だったか?」


「そうそう、それそれ。んで、その切腹に関してなんだけど、本当にザ・優等生な教徒であればあるほど、あのステラと接した結果ムスコが元気になっちまったら、勢い余って切腹しちまいそうじゃねぇかと思ってな」


「「あぁ~~~、なるほど」」


フィリップとレブトは見事にハモった。

そして若いクソガキ下ネタトークに立場上付いて行けないシドウも、心の中では確かにと思いながらも、何度も頷いていた。


「いや、つかもう制限がない状態で触れでもしたら、興奮で出血して死ぬんじゃね?」


「なっはっは!!!!! それは確かにある意味見てみてぇけど、それはなぁ……いや、どうなんだ?」


興奮し過ぎて鼻血が出る。

色々条件が重なった結果、鼻血が出やすい状態になってしまうことはあるが、漫画の様に鼻血が出る勢いで吹っ飛ぶことはない。


(確か、なんかのバラエティー番組で女慣れしてない男の前で女性が裸になったら漫画みたいに鼻血が出るのか、みたいな検証をしてたような…………けど、あれだよなぁ……前世の俺から視れば、ここは十分漫画の世界なんだよな)


武器があり、更に特別な効果が付与された武器も存在、魔法やスキルといった物も存在する。


(別に学者じゃねぇから、前世の人体知識とこの世界の人体知識がピッタリ合ってるかなんて解らねぇし……ワンチャン、条件が重なってれば、勢い良く吹っ飛ぶほど流さなくても、マジでダラダラと止まらずに流れたりするのか?)


それはそれである意味切腹かもしれないと思い、小さく吹き出してしまったイシュド。


「? どうした、イシュド」


「いや、なんでもねぇよ。しっかし……あれが抑圧から解放されたら、どんだけ揺れんだろうな」


「そういうのに触れてこなかった奴なら、何が起こってるのか解らず思考停止して固まっちまうんじゃね」


「はっはっは!!! 割とあり得そうだな」


レブトも混じり「はっはっは!!!」と三人で笑っていると、二つの手刀が振り下ろされた。


「い゛っ!?」


「っと」


「っ!! ……イシュド、素直に食らっておきなさい」


「嫌に決まってんだろ馬鹿たれ」


フィリップにクリーンヒットするも、イシュドはなんとなく気配に気付いていたため、サラッと躱した。


「あなたたち……ステラさんは、戦う聖女と呼ばれてる方ですのよ!!!」


「らしいな…………さっきも言ったが、ある程度強ぇのは前情報から解ってた。ただ、思ってた以上にやるみてぇだな」


おっぱい大好き野郎三人がバカトークをしている間に、二人の体は完全に暖まってり、戦況は激しさを増していた。


「それはそうですけれど、そこではなく!!」


「あん? 別にそんな気にしなくても良いだろ。別にうちの国の聖女……聖女なんていたっけ? とりま、うちの国の人間じゃないんだし、身内であれこれ喋るぐらい良いだろ。健全な野郎たちの猥談ってだけだぜ?」


健全と猥談……イコールで結ばれない気がする言葉ではあるが、表情を変えず体も動かさず……シドウは心の中で何度も頷いていた。


(そういえば…………ダスティン先輩も、あぁいう場所に行くのに……結構乗り気だったような……)


先程から同じ野郎でありながら、全く会話に参加していないガルフはレグラ家にお世話になっている際、夜に野郎たちだけで歓楽街に行った際に……別学園の先輩が割と乗り気だったことを思い出していた。


勿論、ガルフも男の子であり、性欲はある。そういうのも気になる。

しかし……友人でありイシュドやフィリップほど、堂々とそういう話題に関して喋れなかった。


ただ……よくよく思い返してみると、自分の周りにはそういった話を気軽にする人の方が多い……気がしなくもなかったガルフ。


「そういう問題ではありませんわ!! そういう話が、あちら側の怒りという炎に油を注ぐのが解らなくて?」


「女性陣はともかく、野郎に関しちゃ表面上怒るポーズを見せるだけだろ。寧ろちゃんとムスコと金玉が付いている野郎なら、反応して当然だっての」


「イシュドの言う通りだと思うぜ~、ミシェラ~~~。まっ、そういのを完全に捨て去る為に、イチモツを切り捨てたりしてんなら、それはそれで凄ぇとは思うけどな」


「おいおいフィリップ、あんま想像するだけでダメージ食らいそうな事言うなよ。言いたい事は解るけどな」


人間の三大欲求である食欲、睡眠欲、性欲。

レグラ家の人間にはそこに戦闘欲なども追加されているが、基本的にこの世界でも人間の三大欲求というのはその三つである。


だが、神の教えに準ずるため……生きて人の為に活動出来ればそれで十分だと……それ以外の何かは邪魔だと判断して己のイチモツを斬り落とす。

そんな行為を実行出来る人物は、実力云々を抜きにし、人間として……野郎として少なからず敬意を感じざるを得ない。


「っと、またちょっと動いたっぽいな」


ミシェラからの説教を強制的にぶった切り、トップ同士の戦いへと意識を戻した。

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