第20話 婚姻届け?

ソフィアという超絶美少女が編入してくるというハプニングがあった。


そのおかげで俺はクラスの皆から注目を集めている。


男子どもはソフィアにハートの視線を送るも俺には鋭い眼差しにて睨みつけてくる。


ふと、俺はある疑問が浮かぶ。


殺気の籠った視線で人が殺せるか?


……俺は死にそうです。


まあ、今は大丈夫だけど、夜道には気を付けなければならないと決心している。


授業中……ソフィアがこちらを向き小さく手を振る。


彼女はとても笑顔は天使?いや、俺から見たら悪魔にも見える……。


その様子を見る周りの男子生徒の目が怖い。


おい、廊下側の一番後ろに座るヤツ、目から血が出ている……大丈夫か?


ただ、今の現状の認識を改め直す必要がある。




……どうやら夜道だけではなく、四六時中……気を付ける必要がありそうだ。


☆彡


その後、何とか生きて本日のすべて授業を終えることが出来た。


「い、生きてる」


全ての授業が終わったと同時に胸に手を当て心臓が動いていることを確認する。

生きてるって素晴らしい……!


なんて、感動していると高圧的な態度で声を掛けてくる女性がいた。


「何を当たり前のことを言っている」

「へ?」


その女性は腰に手を当て自慢のプロポーションを見せつけながら、俺の頭上から指示を出す。


「いいか、お前はこれから生活指導室へ来い」

「え?それはなぜですか?」

「まあ、なんだ」


エリザベス先生は俺の問いに答える前に辺りを見回す。

しかし、大勢の生徒がいることを確認したのでここでは言えないことだと察する。


「それは生徒指導室に来れば分かる」

「はーい」

「ちなみに、一人で来いよ」

「えっ……は、はい!」


え?一人?どういうことだ?


「帰り支度が済み次第来てくれ」

「あ、はぁ」

「くれぐれもバックレたりするなよ」

「りょ、了解であります!」


俺は立ち上がり直立不動で額に手を当て敬礼する。

その後、エリザベス先生は踵翻して教室を後にする。




ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと待て……。

落ち着け、俺!



一人で生徒指導室へ来い?



それは、つまりエリザベス先生と二人きり?



女教師と男子生徒が密室で、二人きり?



しかも、ここでは話せる内容ではない?



待て待て待て…………。



こ、これは一体、どういうことだ?

どこかに隠しカメラが?

いや、この世界にそんなものはないか。

ドッキリ……ではないか?


じゃんけんで負けたから罰ゲームで嘘告白とか?


…………………エリザベス先生だとあり得ないな。


これは、どう考えても……結婚を前提とした交際の申し込みではないだろうか?


エリザベス先生……いや、エリザベス……俺はウェルカムだ!


彼女のすべてを受け入れる準備ならできている!


この世界では先生と生徒の恋愛が禁止なんてものはない。

恋愛自由だ!


俺はモカに……聖女モニカに捨てられた男。

でも、そんな俺でも必要としてくれる女性がいるなんて。


しかも、俺の理想の女性だ。

これほどうれしいことはない。


モカのことを忘れるにはやはり新しい恋が必要だな。


……にしても、最低な男だ。


今まで散々、愛してる・お前だけだと豪語していたのに捨てられた程度で心変わりしているのだ……いや、普通か?

まあ、いつまでもモカのことを引きずるのは精神衛生上良くないよな。


……うまくいきすぎてないか?


まさか……ゆめ?


「サム、どうしたの?ぼーっとして」


俺はエリザベス先生の話を聞いた後、しばらくその場に立ち尽くしていた。

そんな俺に話し掛けてくれたのはソフィアだった。


「いや……すまないが頬をつねってくれないか?」

「え?どうしたのいきなり?もしかして、マゾ?」

「いや、違う」


ドン引きするソフィアに俺は弁明しようとした。

しかし


「イテテテテ」

「これでいいかしら?」

「ふぁい」


横から俺の頬を躊躇なく思いっきり引っ張ってくれるローズ。


うん、痛い……これは夢じゃないな。


「ほら、エリザベス先生に呼ばれているんでしょ」

「おう!」


どうやらローズは先ほどの会話を聞いていたようだ。


「よし、行ってくる!」

「うん、いってらっしゃい?」


ソフィアは首を傾げながら見送ってくれた。


俺は生徒指導室へと足を運ぶ。

廊下をスキップで移動する俺はどこからどう見ても浮かれていただろう。


「キャ」

「ヒィ」

「イヤー」


すれ違う女子生徒が気味悪そうに俺を睨んでくる。



生徒指導室の前に立つ。

扉のガラスに映る自分を見ながら身だしなみチェック!


「あーあー」


喉の調子よし。


戦闘準備は万全だ。


コンコン


ドアを叩くと「入れ」とエリザベス先生の声が聞こえる。


「失礼します」


ゆっくりとドアを開けて、一歩中に入る。

すると、未来の花嫁が体の前で腕を組み仁王立ちしていた。

なんと勇ましい姿だ。


俺は益々、エリザベス先生……いや、エリーを惚れ直す。


「まずは、これを見てくれ」


エリーは一枚の紙を差し出してくる。

ま、まさか……婚姻届け?

いや、この世界にそんなものは……いや、まて、彼女なりに意思表示が欲しいということだろうか?


俺は紙を受け取りその内容に目を通す。


「え?エリー、これは?」

「エ、エ、エリー!?……こほん、ふざけるな!……まあ、そのままだ」


その紙に書かれた内容はなんと「授業料未納」というものだった。

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