第3話 女性エースパイロット

モカが話始めたことろに割って入ってくる諸悪の根源

その女性は長い足を見せつけるようなタイトなスカートを履いており普通の男性なら興奮して妄想が止まらないだろう。

しかし、この女性に限っては……男が傍に近寄れなかった。


その人はエリザベス=クライツ先生


マギネスギヤというロボットの戦闘において功績を残し、女性ながら騎士爵の爵位を持つ有名人だ。

この王都で彼女のことを知らない人のほうが珍しいだろう。

ただ、性格がこの通り横暴であることから結婚相手がいまだに……


「なあ、サミュエルよ」

「は、はい」

「おまえ、今、何か失礼なこと考えていないか?」

「いえ、そんな……まさか……ハハハ」


この人は心を読むことが出来るのだろうか?っというぐらい何故か相手のことを見透かしてくる。

正直、やりにくい先生だ。


「モニカ」

「はい?」

「アンソニー殿下が探しておられたぞ」

「私を……ですか?」


モカは自分が呼ばれていることに驚いている。


「ああ、準備がどうとか……今日の夜会の準備係だったのか?」

「いえ、違いますが」

「まあ、すまないが行ってもらえるか?」

「わかりました。ダーリン、また後でね」

「おう」


俺に背を向けて移動を開始するもモカは何かを思い出したのか立ち止まり振り返る。


「そういえば、明日の朝の朝食、またナポリタンスパゲッティでもいい?」

「ああ、毎日でもいいぞ」

「それは流石に飽きるよ」

「モカが作るなら何でもいいよ」

「ありがとう、サム……それじゃあ、行ってくるね」

「ああ」


モカは少し名残惜しそうに職員室のほうへと歩き出す。

そういえば、さっき何を言いかけたのだろう?


「で、サミュエル=ロスガードよ」

「はい」


高圧的なエリザベス先生に名前を呼ばれ俺の背筋が伸びる。


「こんな初等部の廊下に立たされて初心にかえれるだろ?純粋な心に戻ったことで今一度、問う。なぜあのようなことをした?」

「あのようなこと?」


正直、俺には何故咎められるのか見当もつかない!

ってことはなく、申し訳ないと思いながらもシラを切ってみた。


「シラを切るつもりか?」


流石です。お見通しですか……ですが、今日は夜会もあるのでここは早く切り抜けなれば!


「実はあれには訳がありまして」

「ほう、言ってみろ」

「あれは亡き母の遺言で……」

「ちょっと待て」

「はい?」

「お前の母親はセリーヌ=ロスガードだったよな?」

「それが何か?」

「まだ、生きているではないか馬鹿モン!」


俺としたことが失態だ。

そういえば、うちの母親とエリザベス先生は知り合いだったな。


「よーし、夜会までまだ時間があるからそれまでみっちりと語り合おうじゃないか」

「ちょ、先生、それはいくら何でもあんまり」

「そこに座れ」


床に指をさしそこへ座れと命令するエリザベス先生


「え?ここは廊下で床が冷たく……」

「聞こえなかったか?」


俺が反論すること自体が間違いだったと思うほどの形相でにらみつけてくるエリザベス先生。

美人だからか迫力がその他大勢と比較して半端ねえ……。

鬼だ……目の前に鬼がおる……


「…………はい」


俺は恐怖のあまり小さくなりながらエリザベス先生が指さす場所へと座る。


そのまま俺は初等部の教室前の廊下でみっちりとありがたいお話を貰う。

ただ、エリザベス先生って中身は兎も角、見た目は……めっちゃタイプなんだよな。

しかも、鍛えているし女性としての膨らみもしっかりと強調する服を着ているため……エロい。

胸や尻のカタチなんて見ているだけでよだれが……

正直、この性格を差し引いても恋人にしても全然、俺なら問題ないな。


「おい、聞いているのか!」

「はい」


っと、顔を近づけて詰め寄るエリザベス先生なのだが…………なぜか顔が高揚しており頬が赤く染まっている。


「そ、その、なんだ、あまりそんな目で見るな」


目を伏せ、口を研がせるエリザベス先生。

「かわいい」の破壊力が凄まじいことになっていた。

俺、モカがいなかったら絶対に落ちてるよ。

ってか、先生、本当に心が読めるのでは?

にしても反則的にカワイイ反応しないでください。

アウトです。

先生は今年でさんじゅう……

と、先生の年齢を頭に思い浮かべていると表情が一変する。


「……サミュエル、お前死にたいようだな」

「……滅相もございません」


絶対に心が読めるよな……うん……。


このあと、本当に俺は夜会ギリギリまで先生の体を眺めることになってしまった。


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