長く遠い道のりを旅してきた『私』からの手紙。
あるいは、その形式で表された物語。
壮大な旅路を描いたSF掌編です。
宇宙をモチーフとしており、そのスケールの大きさ・静謐さが魅力なのですけれど、読み味の魅力としてはむしろファンタジー的な楽しさがあるのが素敵なところ。
『私』の主観によって、詩情たっぷりに綴られた太陽系の様子。
その世界観のわくわくするような味わいがたまりません。
旅の終着点というか、最後の最後にしっかり『オチ』のような部分があるのも素敵。
でもやっぱり個人的に一番好きなのは、そこに至るまでの旅路や語り口そのもの。
読んでいてわくわくするのと、どこかしらの終着点を目指して進んでいるのがわかるところが大好きです。
ふんわりと想像を膨らませながら読むのが楽しいお話でした。