私の相棒は魔法使い?

第3話 ここは何処ですか?(汗)

 すっごくポカポカとした陽気だった。

 真昼は若葉色の絨毯の上に横になり、太陽光を全身に浴びていた。


「気持ちが良い……ってここは何処?」


 真昼は目を開けた。

 気が付けば真昼は何故か草原に居て、目を丸くしてしまった。


「ちょっと待ってよ。えっ、どうして? 何が起きてるの?」


 真昼の頭が困惑の渦の中にいた。

 汗がダラダラと流れるとともに、とりあえず今分かっていることを頭の中でまとめようとした。だけど無理だった。


「ちょっと待ってよ。情報が多すぎて理解できないんだけど……えっ? 私は確か公園に居て……そこで何か拾って……あっ!」


 真昼鼻の頭を押さえて記憶を呼び起こした。

 とりあえず何が起きてこうなったのか、真昼は全力で考えることを止めた。

 だって考えても仕方ないから、これは夢だと信じるしかなかった。


「きっとコレは夢……きっと夢なんだ。だから頬をつねったら痛くないはずで……痛くないはずで……痛い」

「当たり前だよ!」


 真昼が謎の現実に打ちひしがれる中、急に声が聞こえてきた。

 これもきっと悪い夢だと真昼が想像する中、もう一度声が聞こえてきた。


「こっちこっち。私の声聞こえてないの?」

「うーん、やっぱり幻聴が聞こえ……えっ?」

「幻聴じゃないよ!」


 女の子の声が聞こえた。

 真昼は驚いて瞬きを何度もしながら、すぐ近くから声が聞こえたのでキョロキョロしてしまった。


「何処から声が聞こえるんだろ?」


 真昼は周囲に誰も居ないのを確認して疑問に思った。

 すると声がすぐ近くから、しかも手元から聞こえてくることに気が付いた。


「私の手元から声が聞こえる? まさかそんな訳……カード?」


 真昼はカードを持っていることに気が付いた。

 そう言えば公園で拾ったカードは二枚あって、一枚は無くなってしまっていた。

 代わりに手元に残ったのは綺麗なブレスレットだった。


「カードがブレスレットに変わって、もう一枚のカードから声が聞こえる? うーん、私には付いていけないよ」


 真昼は頭を悩まされてしまった。

 しかしカードから聞こえる声は相変わらずで、「早く表面にしてよ」と訴え掛けていた。


「えっ、表面? うわぁ、可愛い女の子! しかもふちまでいっぱいいっぱい細かく描いてある!」


 カードゲーム初心者な真昼でも流石に凄そうだと思った。

 だって表面がザラザラしていてピカピカ光っていたからだ。

 光沢感があるというか、斜めにしてみるとキラキラしていた。ショーケース? とかに飾ってありそうだった。


 しかも描かれていたのは可愛い女の子だった。

 魔法使いのような格好をしていて、大き目な魔女っ子帽子と先端に星が付いた杖を握っていた。

 今にも飛び出してきそうな体勢で、マントがヒラヒラしていた。

 価値は分からないけど、真昼は可愛いからそれだけで満足だった。


「えへへ、ありがとう」

「うわぁ、喋った!? やっぱり喋った……怖い」


 目を丸くしてしまい、真昼はカードを放り投げてしまった。

 するとカードから「うわわわわぁ!」と悲鳴が聞こえた。


「ちょっと落とさないでよ。カードを傷つけるなんて酷いなー」

「ご、ごめん。えっ? カードとしての自覚があるの?」


 色々とツッコミどころ満載だった。

 だけど真昼は一旦カードを拾い上げると、もう一度魔法使いの女の子とお話をした。


「もしかして喋ってるの?」

「うん、喋ってるよ。とは言っても貴女にしか聞こえないけどね」

「そ、そうなの? 如何して?」

「こっちの世界の人じゃないからだよ。まさか異界の門が開くなんてね。しかもブレスレットになっちゃうなんて信じられないよ」


 初耳ワードがわんさか出てきた。

 流石にこの界隈に疎い真昼にはもうさっぱりで、右から左に流れていた。


「えっと、えっと……とりあえず自己紹介?」

「急な方向転換だね。でも良いよ、私は書いてある通り」

「《星喚の魔法使いルーン・マジシャン ステラ》?」

「そうだよ、よろしくね。貴女は?」


 ウィンクをされてしまった。どうやら夢ではないようで、もう流れに身を任せた。


「えっと、私は白峰真昼しらみねまひるです。よろしくお願いします」


 何故か正座してしまった。

 けれどそんなことすら真昼は気が付かず、ステラは「よろしくね真昼」と笑顔で答えた。

 しかし苦笑いを浮かべる真昼にステラは首を捻った。


「どうしたの真昼? きょとんとしちゃって」

「うん。色々聞きたいことが渋滞してて頭の中で整理できないんだ。ごめんなさい」

「ごめんなさいじゃないよ。そう言うのは一つ一つ考えて行けば良いんだよ。真昼は今一人じゃないんだから、一人で悩まなくても大丈夫」


 ステラはとっても優しかった。

 真昼は少しだけ笑みを浮かべると、とりあえず一番気になっていたことを聞いてみた。


「ステラ、ここは何処なの? それとどうしてカードが喋ってるの?」


 一つの質問の中に同時に二つの質問をねじ込んだ。

 欲張りな真昼だったが本人は無自覚で、ステラもステラで簡潔に答えた。


「うんとね、ここは私達の世界。それでカードの姿なのは真昼が持ってるからかな」

「わけ分かんないです」


 全然さっぱりちんぷんかんぷんだった。

 真昼は話を受け入れることも飲み込むことも放置して、ぼーっとしてしまった。



◇今日のカード紹介コーナー


・《星喚の魔法使いルーン・マジシャン ステラ》

 コスト:5 パワー:5000 属性:白

 タイプ:モンスター 種族:魔法使い/キズナメイト レア度:SSR

■[自分のフィールドとドロップゾーンのカードが全てキズナメイトのみ]このモンスターの色は全色としても扱う。

■[EB2:山札からコスト:5以上のキズナメイトを持つモンスター1枚を選びこのカードの下に置く]このモンスターがリンクしている時、ターンに1回この能力で置いたモンスターの元々のパワー分、このターン終了時までこのモンスターのパワーをアップする。


※EB〇:エナジーゾーンの表のカードを〇の枚数だけ裏にする。

 SSR:SRの上。読み方はシークレットスーパーレア。

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