第13話

「このドラマのオファー受けてみない?」

「ふぇ!?」

私が社長に提案されたドラマは要約するとこうだ、時代劇で私はヒロインで忍びで暗殺者でありながらもターゲットに恋してしまった忍び。

最後には自らの命を絶つ。

「失礼しちゃいまーす」

そこにはとても綺麗な顔をした男の子が立っていた。

「君、星野望ちゃんだよね!?最近芸能界で有名だよ!」

と急に距離を詰め寄られ私は困惑する。すると社長が笑いだし

「せっかちだなぁ、ヨルガくんは」

「どーも!ヨルガでーす!あ、ちなみにこれ本名ね」

ヨルガと名乗る男の子は一言で言えば人なつっこそうって感じ。

「俺がオファーしたんだ!ね、お願いできる?」

ヨルガさんは急に土下座をして懇願し、私は慌てた。

「ちょ、なにしてるんですか!?」

「君が承諾するまで俺は動かないー!」

ちなみに私が許可を出すまでの1時間ずっとヨルガさんは土下座をしていた。






そのあと私たちは台本を配られ監督からの指示を聞いた。それから読み合わせをして気づけば夕方。

「つ、疲れたぁ〜!!」

「お疲れ様」

「なんか緊張しまくった……」

「そんなもんだよ。これから慣れるよ」

「頑張ります……」

社長との雑談をしながら机に顔を突っ伏す。

「のーんちゃーん!って!ちょ、大丈夫!?」

しばらくすると大毅が迎えに来てくれた。私が疲れてる姿を見て焦りその後になにかを呟いたが、私は聞こえなかった。

「ヨルガか……」

大毅は私に上着をかけてくれて

「今日は母さんが迎えに来るからそれまで寝てな?」

とギュッと抱きしめてくれて大毅のぬくもりを感じてそのまま寝てしまった。












大毅side

「うわぁ〜、もう癒される……」

俺の腕の中で安心しきって寝ているのんちゃんはとても可愛い。時々むにゃむにゃしてニコッと緩く笑うのが堪らない。

「大毅、のんちゃんと雑誌の撮影を大規模でやってみないか?」

「え?なに言ってるのおじさん」

のんちゃんはこれからドラマがはじまる。それにどんどん忙しくなって独り占めできる時間が限られてくる。しかし

「のんちゃんを独り占めできる役だとしても……?」

「やります」

と即答してしまった。話を聞くとある殺し屋がターゲットの男の妻に一目惚れして自分のものにしようというコンセプトだ。なんだかありきたりな話かもしれないが、のんちゃんを独り占めできるなら別だ。

「ちなみになんだけどその相手が……ヨルガくんの双子の弟のゼンくんなんだよね」

「はぁ!?もうあの兄弟は……!だからのんちゃんを芸能界にいさせたくなかったの!」

俺はプンスカして怒るとのんちゃんが起きてしまい

「んん……だーいき?」

「あ、ごめんのんちゃん。起こしちゃったね」

俺はのんちゃんの頭を撫でるとのんちゃんはまた寝てしまった。

のんちゃんには俺だけのお姫様でいてほしい。芸能界には出したくなかったが、のんちゃんが変われるきっかけになるかもしれないと思い俺は止めなかった。

「俺の姫は誰からも愛されるね」

だけどだーれにも渡さない。俺の可愛い可愛い姫。

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