第11話

「え?ちょ、ちょっと待ってよ。」

「のんちゃん、あなたには演技の才能がある」

「よかったら俺たちが経営している事務所でオーディションあるんだけど受けてみない?」

そう中嶋家はテレビ業界では有名な事務所で大毅はそこに所属している。大毅は本命はモデルでたまにお芝居をやったりもする。

「1度でいいから受けてみて!!お願い!」

と2人から言われ私は断れず翌日オーディションに行った。





















周りは可愛い女の子でいっぱいで私はとても緊張した。そしてスタッフらしき人が声をかけみんながオーディション会場で審査を受ける。緊張するなかある人が私に声をかけてくれた。

「あなたとっても美人ね!名前は?」

その女の子はとても可愛い顔つきをしていて例えるならトモくらい可愛い。しかしその子の周りから

「うわー、親が芸能人だからって自分も受かると思ってるのかな?」

久森 葵ひさもり あおいもいるの?出来レースじゃん」

その名前を聞いて私はピンと来た。久森と言ったら有名な俳優さんだ。まさかその娘がオーディションを受けに来てるなんて思わなかった。だけど周りの子は久森さんをよく思ってないらしい。私は腹が立って

「久森さんだって自分からチャレンジしてここに来てるんだから正々堂々私たちも勝負すべきなんじゃないかな?」

と言うと周りが凍りつく。その間を壊した笑い声がし振り返るとそこには若い男の人がいた。笑ったほうを振り返るとそこには

「あはは!すごいな君は!」

「え!?社長!?」

「えー!?」

そこには大毅たちの従兄弟のお父さんがいた。






そのあと私たちはらあるセリフを10分を覚えかなりの量だったが、私はさらっと覚えその人物がどんな人か考えた。私がやる役はある男の人に恋したとても優しい心を持った女の人。だけど2人は引き裂かれてしまうというシーンをする。男の人は愛する女の人のために嘘をつく。私は台本を読みながら泣いてしまった。

「じゃあ次ー、星野さん、久森さんお願いします!」

私と久森さんのペアで私たちはお互い深呼吸してスイッチを入れた。

「俺と別れてくれ」

久森さんは私と目線を合わさずかすかな声で言う。だけどそれは涙を堪えている。

「いやよ!私なにか悪いことした?」

私は久森さんの演技につられて泣いて愛する人を浮かべながら……大毅?

そうか。私は大毅のことが好きなんだ。私は大毅を想像しながらセリフを言う。

「最初からうざかったんだよ!さっさとでていけ!」

久森さんの演技に圧倒された。私は大毅にこんなこと言われたらきっと絶望してなにもできないだろう。

「なんで……私のために……そんな突き放した言い方するの……?あなただって苦しんでるじゃない」

私は泣いている久森さんの頬を両手で挟む。

「苦しいことは半分こ。嬉しいことは半分こ。私にもその苦しさ分けてよ……!」

これはアドリブだった。大毅はそう。いつも私のために嘘をつく。それがいつも悲しかった。だけど過ごしていく中で大毅が私が苦しまないように私を守ってきてくれた。

「ごめん……ごめん!!」

久森さんは泣きながら私を抱きしめかえす。

「俺……お前の家のことばかり考えてた。お前はお嬢様。俺は市民。だけど2人でしか幸せは掴めないよな?」

「そうよ。だって」
















「「私たちは2人でなら最強なんだ!」」

私たちは涙ぐみながら笑いあって手を繋いだ。

すると周りから拍手が聞こえてきて私たちはそこでスイッチが切れた。

「あれ?なにしてたっけ?」

「なんか分からないけどすごかったらしいね?」



















翌日私と久森さんはオーディションに合格した

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