第5話
中嶋兄弟side
「ん〜!!美味しいこのマカロニグラタン!」
普段めったに笑わないのんちゃんが笑っていてとっても可愛い。俺たちにだけ向けてくれる笑顔が俺たちは大好きだ。
あの頃……
のんちゃんは両親を亡くした後一切笑わなかった。元々のんちゃんの両親とは俺たちの親が高校からの親友だった。それで家も近いからよく両家で遊んでいた。最初にのんちゃんはお母さんを亡くして、のんちゃんのお父さんだけでは大変だと言うことで俺たちがのんちゃんの子守りやお手伝いをしに行っていた。俺たちはまだ歩くことのできない大毅を抱っこしてのんちゃんと一緒にお世話にしていた。
「のーちゃーん」
と大毅が眠るのんちゃんに手を伸ばし近づけると大毅は生まれて初めてのキス(いや、キスというより吸引か?)をするとのんちゃんは目覚めて
「きゃっきゃっ!」
と笑いしゅんくんと彗くん
は目を合わせて
「可愛い……」
と呟いた。そのあとものんちゃんはすくすくと育ち笑顔が戻ってきて俺たちも嬉しかったが……
しゅんくんが血相を変えておもちゃで遊んでいた俺たちとのんちゃんを呼び
「のんちゃんパパ……亡くなったて……」
しゅんくんと彗は青ざめたが、のんちゃんとひーくんと大毅はまだ事の重要さが分からず分かったのはお葬式の時だった。
「うわぁーん!!」
お葬式に響くのは悲しみの音。のんちゃんの涙が止まらず彗くんが外でのんちゃんをあやした。しゅんくんと大毅とひーくんは椅子に座りずっと俯いて涙をこらえていた。するとのんちゃんの親戚の声が聞こえ
「望ちゃんが3歳になったばかりなのに……」
「誰が引き取るんだよ……」
「俺は嫌だ!」
「でもあの可愛さは将来芸能界に出せば……」
「やっぱり私がもらうわ!」
「いや!俺だ!」
不幸にものんちゃんの両親はお互い一人っ子でいとこも存在しなかった。親戚は歳が老っている人ばかりでのんちゃんを育てるにも大変だった。それにのんちゃんの両親の親も病気にかかっていて引き取ることができないと言った。そんななか声を挙げたのは俺たちの両親だった。
「私たちが育てます!!」
俺たちの両親は親戚に頼らず金銭面ものんちゃんの分まで稼いだ。俺たちはお葬式の夜両親に呼ばれ
「いいか?望は俺たちの家族だ。絶対に壁をつくるな」
とお父さんに言われ俺たちは幼いながらものんちゃんを守らないといけないという使命を持った。それから俺たちとのんちゃんの生活が始まった。幸いにものんちゃんは俺たちに懐いていて、少しずつまた笑顔を取り戻した。
そして俺たちが中学生になった頃のんちゃんはある人に恋をした。いわゆる初恋だ。最初は相手のほうがのんちゃんを想っていてくれていた。恋するのんちゃんは俺たちには苦しいものだったが、俺たちは放課後見てしまった。
「好きです!私と付き合ってください!」
とのんちゃんが告白している姿が。俺たちは苦しくなってその場を去ろうとしたときとんでもない返事が。
「はぁ?好きな人にそんな簡単に好きになられてもねぇ……?そういう女普通にキモイから」
俺たちはその言葉にカチンとし、ひーくんがその男を殴り泣いているのんちゃんを大毅がギュッと抱きしめ
「こら!ひーくん!」
としゅんくんはひーくんを捕まえる。
「ふざけんじゃねぇ!お前人の気持ち踏みにじりやがって!」
とひーくんは言う。彗くんは外で誰が来ないか見張っていたがすぐに男の胸ぐらを掴み
「あ〜あ、君にはのんちゃんの魅力分からないバカだもんねぇ?」
と嘲笑う。
「私……醜いんだ……」
「ちがうよ!のんちゃん!泣かないで」
と大毅は慰める。
「いいか?俺たちののんちゃんに近づいたら許さねぇから」
としゅんくんからドスの聞いた声がした。
その次の日昨日の告白が校内中に回りのんちゃんは俺たちの見てないところでからかいや暴力を受けた。俺たちがなるべく止めていたがそれでも収まらず俺たちのいないタイミングを見計らって色々とやっていた。俺たちは笑顔が消えていくのんちゃんに気づくのが遅くある日のんちゃんが女子ちにトイレの水に顔を突っ込まれ
「顔汚いから洗いましょーね!」
「ううっ……だれ……か……」
「のんちゃん!!てめぇら……ざけんじゃねぇー!」
大毅が一番最初に気づき女子たちを退かしのんちゃんを助ける。
「だ……だ……い……き」
「のんちゃん……のんちゃん!!」
「わた……し……きたない……から……」
「どんなのんちゃんでも俺は離さないから」
「大毅!!くっそお前ら……!」
そのあと野次馬に男子が来てそれに気づいたのかひーくんと彗くんとしゅんくんが助けに来てその場にいた男子を回し蹴りした。
「のんちゃん!!のんちゃん!!」
のんちゃんは呼吸が浅くなりどんどん体が冷たくなっていく。
「しゅんくん!救急車!!」
そのあとに教師が来たがもう遅い。のんちゃんは病院に運ばれた。
そのあとのんちゃんを虐めていた奴らは処分が下り転校した。しかし俺たちも殴りなど暴行があったため、しばらく停学だった。
「ごめんなさい……みんな……」
とのんちゃんは泣きながら謝る。
「これも……私が恋しなければ……」
「ちがうよ!のんちゃん!」
「のんちゃんは悪くないから」
「悪いのはあっち」
「のんちゃんは綺麗で優しくていい子」
と俺たちがギュッと抱きしめた。
高校生になりのんちゃんはもっと綺麗になって俺たちのガードがないといけないくらいの人気になった。しかしのんちゃんは俺たちのお姫様だから誰にも渡さない。
「ん?みんなどうしたの?」
とのんちゃんがキョトンとした顔でこちらを見る。俺たちは声を揃えて
「のんちゃんが可愛いすぎて見てた」
のんちゃんは可愛いくらいに顔を真っ赤にした
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