第3話

「はぁ……なんでいつもこうなんだろう……」

とため息をついた。中嶋兄弟に振り回されっぱなしの私だ。

「なぁーにため息ついてるの?のんちゃん。」

とひーくんはニコニコ笑いながら首をかしげる。

「俺エネルギーチャージしたいからギューってさせてね。」

と私を抱きしめてきた。夏が近いせいか少し暑い。

「ひーくん……!ここ学校だし……!」

「のんちゃんは俺のこと嫌い?」

とうるうるな目で見てくる。私がこれに弱いことを知っている。

「嫌いじゃないけど……」

「んふ、ならいいじゃーん!」

「星野さん、おはよう……って中嶋!なにしてるんだよ!」

「んー?のんちゃんを抱きしめてるの……」

と陽向くんの男友達の宮本 蒼葉みやもと あおばくんがするどいツッコミをかましてくれた。

「み、宮本くん……助けて……苦しい……」

「中嶋ー!これ以上やると星野さん死んじゃうから!!」

と勢いよく剥がそうとしてくれるが、逆に抱きしめる力が強くなり

「俺ののんちゃんなのー!」

と一点張りのひーくんであり、私は窒息死しそうになった。













「のんちゃーん!ご飯食べよ!」

「だから!大声で言わないで、大毅」

「あ!のんちゃんとられた!」

「残念でしたー」

「はいはい」

毎日お昼になると私は大毅とご飯を食べる。たまにひーくんとも一緒に食べるが、大毅がなぜか私のお弁当を持っていってくれるから仕方がなく一緒に食べている。もちろん兄弟みんなで食べることもある。ベンチに座ると大毅はお弁当を渡してきた。ごはん、肉と野菜炒め、さつまいもの煮物、きんぴらが入っていた。

「美味しそう……」

「今日は俺が作ったから!」

「ありがとう、大毅」

大毅は料理も得意で私のお弁当は毎回大毅がつくってくれる。これも感謝でしかない。私は大毅の料理が大好きだ。

「……可愛い……」

「ん?なにか言った?あ、これ美味しい……!」

「ううん!喜んでくれて嬉しい」

私はリスみたいにどんどんご飯を頬張る。















「んー、のんちゃん眠い……」

「ちょ!ひーくん!頭乗っけないで!重い……」

5限目になると毎回ひーくんは眠くなる度に私の席に近づき私の頭に自分の頭を乗せて寝ようとしてくる。最初のうちは怒られていたが、私の頭に乗っけることを条件に寝ないことを約束したため、毎回私が被害に合う。そんなひーくんを兄弟みんな羨ましいと言うがその意味がまったく私には分からない。













授業が終わりそれぞれ部活やサークルへ行く。

しゅんくんは生徒会兼サッカー部。彗くんは料理部。ひーくんは陸上部。大毅は部活には行かずバイトでモデルをやる。私は毎日兄弟の誰かと一緒に帰らないといけないルールになっていて中嶋家はとっても過保護だ。1人でもいいのにと毎回言うのだがその度に4人して面倒になるから困る。今回は夕飯の買い出しもあるので1番はやく物事が終わる大毅と帰ることに。

実際に大毅の現場に行くとみんな歓迎して見学も許可してくれるためとても嬉しい。

「のんちゃーん!どう!?」

そこにはいつもの可愛い大毅ではなく大人ぽい大毅がいた。それに私はドキッとしてしまい

「どうって……に、似合ってる……」

「え?最後なんて??」

「に、似合ってる!か……かっ、こい……い」

「んふふ、ありがとうのんちゃん!」

と大毅はギュッと照れる私を包み込む。なんで大毅相手にいつもドキドキしてしまうんだろう?

「のんちゃん?こっちむいて?」

と無理や両頬を優しく包み込まれ大毅と目が合う。

「真っ赤にしちゃって……かわいいなぁ……撮影中も他の男に目移りしちゃダメだからね?」

「!は、はやく終わらせてきて!もう!」

私は照れて大毅から離れると大毅はクスクスと笑い現場へと向かう。














「可愛い俺ののんちゃん……」

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