　人々が彼を悪とするならば、俺は彼を善とする。

　それは客観的な意見ではないと言われればそれまでだが、俺にとっては何にも代え難い存在なのだ。身分のせいで息もできず嘲笑われるだけの人生を送るかと思い込んでいたら、彼は俺を信じてくれた。俺に価値を見出してくれた。

「オレと来いよ。お前にもっと楽しい世界見せてやるぜ！」

　そう手を引かれた時から、胸の中で何かがハマる音がした。先より黒く滲んでいた形容し難い感情とも違う、なにかこう、適切な言葉が当てはまる感情が湧いていたような気がした。

　ドゥルヨーダナ。

　お前が俺に世界を見せてくれたように、俺はお前の弓矢となろう。邪魔をする物は徹底的に排除する。打ち砕く。壊し尽くす。

　人々が俺を愚者とするならば、俺は俺を戦士とする。

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