3,愚痴 お題:ありがちなお話

 今から語るお話は、本当に、どこにでもあるようなありがちなお話となっています。

 私はただ廊下を歩いていました。この言い方では語弊がありますか……では、先輩に用があって足早に廊下を歩いていた時のことです。二人の竜人が話しているのを見かけたのですが、内容が酷いとしか言いようがありませんでした。

「御手洗組頭いるだろ? 俺あの人みたいにはなりたくねぇわ」

「なんでだ?」

「だって怪我ばっかしてんだもん。自分から率先して怪我しに行くなんざ、死んでもごめんだわ。痛いし」

「あー、まあ一理あるわな」

 何ということでしょうか。先輩がどのような気持ちで負傷しているのかまったく理解していない、愚か者の発言です。こんなもの、帝国軍の一員として必要かと問われれば答えは否。不必要の我楽多ガラクタはさっさと処分してしまうに限ります。

 私はすぐさま我楽多を凍結保存して、二度と元の場所には戻しませんでした。

 ね? とってもありきたりな愚痴話ではありませんか?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る