第5話教師同士の絆

坊っちゃんが腕時計を見た。安物のG-SHOCKは23:45を表示していた。

先程から、酒が喉を通らなくなり、ずっとキャサリンにバレない様に、水割りと偽り烏龍茶を飲んでいた。

この、教師軍団、どこまで酒が強いと言うのだ。マドンナはまだ、5;5の芋焼酎の水割りを飲み続け、ヤマアラシはキャサリンから無理やり濃いハイボールを飲まされいるが、美味しそうに飲むんだよな。

ボウズとオッチャンはずっと芋焼酎。キャサリンなんか、テキーラをショットで胃のなかに流し込んでいる。


キャサリンが暑いと、上着を脱いだ。さすが、キャサリン。ダイナマイトボディーの50歳独身。

電車組は終電を逃してしまった。

この先生達、どうするんだろ?

「いや~、今夜は飲みましたな?ここらで、お開きで」

と、オッチャンが言うと、

「寂しい事言わないの。明日は土曜日。みんな、わたしん家で飲むのよ」

と、キャサリンが言い出す。

ボウズが、

「キャサリン、あんたはいいけど、僕らは部活の顧問なんだ。生徒だけにしたら、申し訳ないだろう!」

「シィー、チッチッチ。野暮なこと言わないの。じゃ、皆さん3時まで飲みましょ?どうせ、終電ないんでしょっ!マドンナ先生っ!」

語尾がやけに力強い。

「で、ではキャサリン先生お願いします」

マドンナがキャサリンに従うもんだから、周りは渋々キャサリンのマンションを目指した。

この王将と言う居酒屋から、タクシーで15分の場所にキャサリンの住むマンションがある。みんな、別れてタクシーに乗り、同じ目的地へ向かった。

キャサリンは30年ローンでマンションを購入したらしい。後、10年でローンは完済すると言う。

「皆さん、お好きな所に腰掛けてぇ~。今夜はシャンベルタンを空けるわよ~」

と、言うと周りの先生が、

「キャサリン、シャンベルタンって仙台の牛タンとどう違うの?」

と、オッチャンが先陣を切ってみんながしたい質問をしたのだが、

「あなた、バカね。坊っちゃんは知ってるわよね?」

「え、僕?しゃ、シャンベルタン?ナボリタンみたいな感じですか?」

「あなたも、バカね?みんな、バカね。シャンベルタンはナポレオン・ボナパルトがこよなく愛したワインよ」

周りはガッカリした。まだ、飲む気なの?キャサリンは……。と、同じような顔つきをしていた。

キャサリンは、ワイングラスを全員に渡し、シャンベルタンとやらを注いで回る。

「打倒、タヌキ、青シャツ!カンパ~イ」

と、キャサリンは鼻息荒くワインを飲み干した。

ここに、キャサリン同盟が発足したのであった。

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そんな先生が好きなんです 羽弦トリス @September-0919

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