第4話歓迎会の良くある風景

坊っちゃんは、ビールを飲みながら、

「マドンナ先生、最悪だったね。聞けばこの座る位置は青シャツが決めたみたいだよ」

マドンナは、グラスを探していたが、仲居さんがお盆にたくさんグラスを用意していたので、そこから手にとり、気付いたボウズがビールを注いでくれた。

「ボウズ先生ありがとうございます。あの2人最悪。それに従う、先輩先生の考えは理解出来ません」

すると、オッチャンが、

「それはね、鹿児島県って島が多いでしょ?タヌキや青シャツに目を付けられたら、島流しに遭うからだよ」

「えぇ~、信じられない」

「去年は3人、その前は……」

「先生、一昨年前は4人島流しでしたよ。そろそろ、私や先生が島流しの刑の候補ですよ!我々は、青シャツといつもぶつかってますからね」

と、ボウズが言った。

「見てみて、青シャツキャサリンの腰に手を回してる。サイテーな男だな」

坊っちゃんは呟いた。

「こんなんで、周りの先生達、楽しいんでしすか?」

と、オッチャンに尋ねると、

「皆、形だけだよ!皆、タヌキと青シャツが嫌いなんだが、島流しの刑があるからねぇ~。オレ達はそんなん、怖くないからさ。山アラシ君は早く結婚した方がいいよ」

と、オッチャンが山アラシに言うと、

「何故ですか?」

「島には最低4年の勤続になるからね。本土と島じゃ生活様式は変わるし、彼女さんガッカリするかもしれんよ!」

「恐怖の島流しですね。まさか、1年目で島流しってのはないんじゃ……」

「いや、過去に3人、1年で島流しにあった先生もいるよ」

と、ボウズが横から言った。


「もう、帰りませんか?オッチャン先生とボウズ先生とキャサリン先生と、山アラシ君、マドンナちゃん、そして僕だけで、他の店で飲み直しませんか?」

そう、坊っちゃんが言うとちらほら帰る先生らと一緒に宴会場を後にした。

キャサリンには、タヌキと青シャツにバレないように、LINEで、

『居酒屋王将にいます。来てね💕』

と、オッチャンが送った。

山アラシは実に面白い男だった。飲めば飲むほど周りが笑顔になる。そして、みんな酒に強い。

マドンナも芋焼酎を水割りでガブガブ飲む。

いわゆる、乙女割りはしないのだ。5;5で割って飲むのだ。

坊っちゃんは、周りが芋焼酎を飲んでいるが、ファジーネーブルを飲んでいた。

すると、

「お待た~、あら、坊っちゃん先生だけジュース飲んで~、注文お願いしま~す。ハイボール濃いめを2つ」

キャサリンは上機嫌だった。

「あらっ、キャサリン、髪の毛切った?」

「あらぁ~、今頃気付いたの?オッチャン。ソレソレ~アハハハハ」

と、扇子で扇いでいた。

「キャサリン先生」

「キャサリンで良いわよ~、坊っちゃん」

「僕、ジュースじゃなくて、ファジーネーブル飲んでるんですけど……」

「どれどれ」

キャサリンはファジーネーブルを一気に飲んだ。

「なにコレ~、ジュースじゃない」

店員が、ハイボールを2杯持ってきた。もちろん 1杯は、坊っちゃんの分だ。

みんなで、3回目の乾杯をした。

「今日はキツかったわね。マドンナ先生」

「まぁ~、はい」

「タヌキは湿布の匂いがキツくて、青シャツは口臭が酷かったわ。わたし、扇子で誤魔化したけど、臭いものは臭いわよねぇ~」

山アラシはクスクス笑っていた。キャサリンの仕草が面白いのだ。

変態スナックのママさんの様だったからだ。

居酒屋は続く。

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