第7話 解答編1
これで大体の事件のピースは揃った気がする。
そこにシーカーが走り込んできた。
「夏の女王様連れてきたのな~。女王様~ブローチ返すね」
息を切らしながら走り込んできた夏の女王は、体から汗が……いや、もはや蒸気が出ている。
いったい今の体温は何度なのだろうか。
「女王様、ちょっといけずしてごめんなさい。もう少し息が整ったら腹痛の様子を教えてください」
カップになみなみと注がれた水を手に取ると、女王様はそれを一息で飲み干し全身から蒸気を吹き出しながら、その問いに答えてくれた。
「ふむ、若干痛みは残るが先ほどよりは、かなり大丈夫になっていますね。」
「思った通りでしたね。すみません。実はサーモンからアニサキスが検出されまして、夏の女王様の体温を上げるたら、熱に弱いアニサキスの活動が弱くなるんじゃないかと思ったんです」
「ふむ、料理からアニサキスが……」
事情を説明された女王様は、「いたずらは不問とする」と言って、医務室に戻り治療を受けることになった。
「さて、衛士さん、事件のあらましが分かりました。パーティ会場に全員を集めてください」
ほどなくして中庭のパーティ会場に全員が集められた。
治療中の三人はいまだに救護室だが冬の女王、兵士たち、参列客、コックなどが集められた。
「これから事件の真相をお話します。まず、女王様達の症状ですがスケルトンアニサキスによる中毒症状であると判明しました」
「アニサキス中毒じゃと……」
「となると事件ではないのか……」
「私たちはもう帰ってもいいのでしょうかね……」
「コックのミスか、全く騒がせおって……」
会場はざわざわと話し始める。マイクのない環境でこうなると話を聞いてもらえないのだが、ここでエバラにタッチして強制カクテルパーティ効果を発動する。
「みなさん、これは事故ではありませんでした。とある方が明確に悪意を持って仕掛けた事件なのです」
会場のざわつきが最高潮に達したその時、右手の人差し指を突き出して叫ぶ。
「犯人はあなたです。ライヘンバッハ教授……いいえ、ジェームズ・モリアーティ教授」
長身でやせ型の老人に会場の視線が集まっていく。
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