第5話 捜査パート2 事情聴取

「あ、重要なこと忘れてた。被害者の話を聞きに行こうよ」

「それもそうなのな」


 完全に忘れていた……。まず聞くべきは当事者の話だった。

 急いで女王様達のいる部屋の場所を聞き出し、三人は足並みを揃えて向かうのだった。


 向かった先には病床と言うには豪奢なソファーに寝かされた二人の女王とそれを見ている夏と冬の女王がいた。


 いま話を聞けるのはこの二人くらいだろう。

 兵士に別室を用意して貰うように掛け合ったあと、まずは夏の女王様を別室に移動してもらい話を聞いた。

 部屋を分けるのは傷病者への配慮もあるが、裏を合わせたりできないように、話を聞くためでもある。



「宴の途中から胃がチクチクしておりました。本日は四季の女王様の引き継ぎ式……先代に代わり私達が本日から役割を引き継ぐ予定でした。それなのに……」

「まずは、お料理について教えていただけますか?何か不審なことは?」


「私は季節の野菜のパスタをリクエストした。他も特に不審なことはなかったと思うのだが、珍しい料理が出ていたな。確かマリネとか言う最近流行りの料理じゃ」

「マリネが最近の流行りってどういうことです?」

「あぁ、魚を生で食べる料理は最近開発された。処理をすれば問題ないとのことなのでな。ちと気味が悪かったが、なかなかに美味であったぞ」


「その他に変わったことは?」

「毒対策としてか、料理は春夏秋冬の順で好きな皿を選んだ……冬には選択肢がなかったようじゃが、彼女は平気なようじゃな」


 ピンピンしている冬の女王には、他三人に毒を盛る隙はなかったようだ。

 念のため、夏の女王と入れ替えに冬の女王にも話を聞いた。

 彼女がリクエストしたのはマリネだったが、その他の状況に関してはおおむね同じだった。

 一点違うのは……。


「最近、何故か夏と冬の出番が多いらしいのよ。だから、春と秋の女王様は面白くないと思ってて……毒を盛られるのは本当は私か夏の女王なんじゃないかって思ってたの」


 彼女には狙われる理由があったということだ。

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