第2話 異世界探偵団結成
「ただいま異世界は事件の真っただ中……と言っても戦争などではなく、世界のコアとなる世界樹の子供たち──その世界における神に異変が発生しているのです。異変の原因を探ってく正しい世界に戻してください」
「異世界を正すって簡単に言ってくれるけど、ウチらに出来るやろか」
「えっと、その……ボクたち探偵ではあるんだけど、現代日本の探偵ってね。ホームズや金田一耕助みたいに、謎とか事件の解決はあんまりしてなくて……」
「受けたことのある依頼も、ほとんどはいなくなった猫を探したりなのなー」
そう、正直本格的な謎解きに憧れはしているけれど、実際にそんなことをしたことはない。
せいぜい聞き込みと張り込みしかしてない自分達に何が出来るのだろうか。
無茶な依頼で依頼人をがっかりさせてはいけないと、咲耶は断ろうとしていたのだが。
「でも、探偵として依頼された以上、どんな事件でも最初から最後まで解き明かして見せる。それがボク達
「そうだよ!どんな依頼も三人なら解決できるのな!」
初の探偵らしい依頼に目を輝かせている二人を止めることなどできず、乗り気な二人に押し負ける形で渋々と了承するのだった。
「バトラーさん、聞いての通り我々は探偵としては素人です。ご期待に沿えるよう全力で捜査しますが、ご期待に沿えない可能性があることをご理解ください」
「それについては問題ありません。もし解決できなかった場合、その異世界から世界樹様の子を回収して、その世界を無かったことにしますので」
「異変の起きた世界樹の子を回収して、世界樹は元気になるのですか?」
「普通の木の剪定と同じです。腐ってしまった病原を断って他の世界に影響を及ぼさないようにします。他の世界が成長すれば、その栄養分で何とか永らえるでしょう」
割と責任重大なのかもしれないと思ったが、もう受けてしまった以上そうならないようにきちんと捜査するだけだ。
「それでは、みなさんに探偵七つ道具から六つをお貸しします。好きなように分けてください。それと探偵としてのあだ名……と言いますか、愛称を決めておいてください」
「あだ名なら普段から使っている奴で良いかな。……って七つ道具の割に六個しか無いの?」
「貸し出せるのが六つなのです。七つ目はその時が来たらお見せしますよ」
そういう事ならと、一人二つずつ分けることにした。
バトラーから各道具の説明と使い方を聞きながら、それぞれのやりたいことに合わせた道具を選択する。
「私はエバラ。七つ道具は『探偵帽子』と『虫眼鏡』」
「その探偵帽子は、異世界でも通用する身分証明書のようなものです。世界樹様の使いとして認識されるようになりますよ」
「ウチは『電子手帳』と『オプションレンズ付きカメラ』。あだ名はびー作」
「オプションには暗視カメラやドローンなどいろいろありますよ」
「シーカーはシーカー。道具は『猫耳』と『手袋と靴』なのな」
「靴と手袋はセットなので、それで一つの道具となります。まるで猫のように駆けまわれますよ」
道具が決まれば準備完了とばかりに、世界樹の根本が光り始める。
「さあ、参りましょう。謎は待ってくれませんよ」
バトラーに続いて世界樹の根本から異世界へのダイブを決行する。
世界樹の元へ来た時と同じように光に包まれて目を開けると、そこはお城の目の前だった。
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