女子中学生探偵団 AtoZ
バイオヌートリア
第1話 しゃべる猫からの依頼
──この世の中、謎なんてものはそうそう簡単には転がっていないのだ。
探偵小説が好きで、探偵に憧れている
ただ、例にもれず以来の内容の多くは、迷子の猫探しや彼氏の浮気調査などの謎とは掛け離れた仕事がほとんどだった。
「謎なんてこの世には無いのかもしれないね」
「小説みたいに異世界にやったらあるんかもしらんな」
藍子と咲耶がそんな話をしている喫茶店──咲耶の実家である──に、水華が走り込んでくる。
「そこの公園にしゃべる猫がいたの!」
中学生にもなってそんなことを……、とは思うのだが、さしもの水華も幼馴染に冗談を言って驚かせてくるような性格ではない。
「しかもその猫さんが『君を見込んで依頼がある』って言うから、待たせてあるの」
「ちょっと意味が分からへんのやけど」
「とりあえず、そこの公園に来てほしいのな」
二人は水華に導かれるまま、近くの公園へ向かうことにした。
そこには、モノクルを付けたやけにりりしい猫が大人しく待っていたのだった。
「この方たちが、信頼のおける探偵さんですか?」
「うん、そうだよ。水華たちは三人で一つの探偵団なんだ。すぐにお悩み解決してあげるからね」
「ちょっと失礼しますね」
本当にしゃべる猫がいたことに圧倒されていた二人をよそ目に、ネコは立ち上がり、モノクルをした目でこちらをまじまじと見てきた。
「ふむ、これならいいでしょう」
猫がパンパンと手を叩くと、周囲が光に包まれる。
「ちょっと待って、本当に猫が話して……」
「時間がありませんので、その話はあとで」
光が収まったのを確認してから、三人は目を開くと……。
そこは先ほどまで居た公園ではなく、顔のような模様の大樹の目の前に居た。
「ここどこ……」
「わかんないのなー」
「いや、連れてきた本人が分からへんのかい」
言い合いをしている三人の前に、先ほどの猫に似た執事服の猫が話しかけてきた。
「申し遅れました。私、こちらの世界樹様をお世話する執事のバトラーと申します。」
バトラーと名乗る猫は、先ほどまでと違い執事服のようなものを着ており、深々と礼をしてから言葉を継いだ。
「お三方に依頼したいことは、我が主である世界樹様の不調の原因となる世界の正常化、貴女達からすれば異世界の事件を解決してきて欲しいのです」
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