第2話
昨日は土曜だったけど、出勤だった。今年の4月に入った新人の子と一緒に山に行った。山に行ったのは、山から木を搬出すために作られた作業道の写真を撮影するためだった。数年ごとに作業道の写真を撮影して、それを申請しないといけない決まりになってる。申請しないといけない作業道の数は、今年度で100路線以上ある。距離にしたら百キロを超えると思う。昨年度は、私が全ての作業道を歩いて、写真を撮影した。山を歩くことが仕事だった。山歩きはもともと好きだったので、嫌な業務ではなかった。それに、熊に合わないようにするために、スマートフォンで音楽を鳴らしながら、山を歩いたので、それも私には心地の良い時間だった。山を歩いていると、近くを流れる渓流から、水の流れる音がする。鳥たちが囀っている。鹿が山の斜面を駆けていく。この時期は広葉樹の葉が太陽の光に照らされて輝いている。そういった空間を歩いて、写真を一枚一枚撮影していくんだ。昨日は、早朝に雨が降ったので、山の中には霧が立ち込めていた。深い霧。数十メートルまでしか視界がない。幻想的な風景だった。その中を、後輩を引き連れて、歩いた。林道の入り口には倒木があったので、そこに車を止めて、目的の作業道まで歩いて行った。歩くことは好きだけど、昨日はとても疲れた。いつもより多くの距離を歩いたせいかもしれない。それに、季節の変わり目で、身体がまだそれに適応できてなかったからかもしれない。そういった状態にあったけど、仕事は仕事だったので、一歩一歩山を登って行った。
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