第46話 コボルトダンジョンへ
更衣室で装備に着替えた俺はダンジョンゲートに向かって歩いて行く。
ゲート前にはMDDの職員が立っていたので、いつものように探索者証を差し出した。
「はい、確認しました。お気をつけて」
「ありがとうございます!」
そしてゲートを潜りコボルトダンジョンへ入っていく。
コボルトダンジョンは洞窟型なので、この前まで潜っていたスライムダンジョンと見た目は変わらない。
特に0階層は本当に違いが分からない。
「ここに用はないから、さっさと先に進むか!」
俺は0階層を抜けて1層にたどり着いた。
「レーラ、マップを頼む」
《承知・・・ダンジョンマップアクセス開始・・・対象ダンジョンランクF・・・マップ取得を申請・・・成功・・・ダンジョンマップを表示します》
レーラにそう頼むと、視界にマップが表示された。
ふむふむ、広さはスライムダンジョンの1層と同じくらいか?
やっぱりランクが一緒だから一緒なのかなと思う。
そしてマップを見ていたのだが、気になる所が一つある。
それはダンジョンマップに黄色い点が表示されていることだ。
「これ、スライムダンジョンにはなかったよな?何だろうこれ」
《回答・・・黄点は中立存在を表しています》
中立存在?なんだそれ、スライムダンジョンの時はなかったよな?
敵でも味方でもないモンスターがいるのか?
《回答・・・中立存在とは中立的なモンスターや他探索者を表します》
あ~、なるほど。
他の探索者かこれ。
確かにスライムダンジョンでは俺以外の探索者が皆無だったから表示されることはなかった。
それに比べてこのコボルトダンジョンではそこそこの数の探索者が居たので、その人たちが表示されてるのか。
「なるほどね、じゃあ黄色い点を避ければ他の探索者に合わずに済むのか」
これは良いことじゃないか?
俺のスキルはバレると面倒だから、マップを頼りに他の人に合わないように探索を進めて行こう。
「とりあえず、コボルトがどんなもんか見てみたいな」
俺はマップに視線を向けて赤点を探す。
すると丁度隠し部屋の近くにコボルトが居ることが分かった。
しかもタイミングの良いことに他の探索者が近くに居ない。
「よし、とりあえずあっちを目指すか」
俺はコボルトを目指してダンジョン内を歩き始める。
▼△▼△
少し歩いていると直ぐに赤点の近くまで来ることが出来た。
ここまで歩いてくる中でダンジョンを観察してみたんだけど、本当にスライムダンジョンと何も変わらない。
森林型のダンジョンとかに行けば景色が変わるだろうけど、虫系モンスターが嫌いだからなぁ…。
どうにか虫系が出ないダンジョンでも探すか。
「お?あれかな?」
そんな事を考えてると、目の前に毛皮が現れた。
まんまるとしたボディで服っぽいものを着てるのだが、服が滅茶苦茶パツパツになってる。
丁度俺の方を向いていたので顔を見てみるのだが、結構可愛い顔をしている。
例えるならそう、柴犬だな。
二足歩行のまんまるな柴犬がそこにいた。
「前にぬいぐるみで見たことあったけど、倒すの躊躇するような見た目だな…」
可愛いものが好きな人にとってこれは倒しづらいだろう。
実際俺も少し倒しづらいと感じている。
コボルトは俺に気が付いたのか首を傾げている。
とりあえず鑑定してみるか、レーラさん、お願いします。
《鑑定・・・種族:幻獣
個体名:コボルト
戦闘能力:F
思考能力:F
所持スキル:なし
ドロップアイテム:魔石(極小)、コボルトの毛皮(劣)
生態:生体のコボルト。その外見を囮に獲物を捕食する。
攻撃方法:丸呑み》
なるほど、ドロップ品で毛皮を落とすのか。
魔石(極小)しか落とさないスライムとは大違いだな。
それにコボルトの生体と攻撃方法が少し気になる。
丸呑みってなんだよ……ちょっと怖いじゃないか。
「ん?」
鑑定結果を眺めているとコボルトがこちらに近づいてきた。
その歩く姿も愛らしく、警戒心が緩みそうになる。
なるほど、鑑定に外見を囮にするって書いてあったけど頷けるな。
そしてコボルトが俺の直ぐ近くまでやってくると、いきなり口がガバっと開いた。
「うぉおお!?」
口開きすぎだろ!?
結構ビックリしたが、攻撃方法は分かっていたので俺は刀を抜き放ちコボルトを両断した。
コボルトはそのまま霧になって消え、魔石と毛皮がドロップしていた。
「あ~ビックリした。どんだけ口開くんだよ…」
コボルトが口を開けたとき、体の半分以上は口になっていた。
顎どうなってんだよと思わなくもない。
これでもFランクの強さなのか。
見た目は結構ヤバそうだったけど、実はそんなことないのか?
「これがコボルトの毛皮か~、結構ふかふかしてて気持ちいいな」
コボルトの毛皮はそこそこ人気のある商品だ。
手触りが良いのと、入手難易度の低さから色々な所で使用されている。
実はこのコボルトの毛皮で作ったコボルトのぬいぐるみとかが売られてたりする。
さっき実感したけど、攻撃するとき以外は可愛らしい外見をしているので意外にも人気がある。
「とりあえず、隠し部屋のほう見るか」
マップを確認してみると、近くに人が居ないのでさっさと隠し部屋を確認することにした。
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