第44話 アイテムプレゼント

「まずは耐水系のアイテムからだな、一つ目はこれだ」

「これはネックレスか?」

「そう、耐水のネックレス」

「いいな、ネックレスは装備してもかさばらないからありがたい」


千鶴の言葉からするとかさばるようなアイテムがあるのだろうか?

あ、もし盾とかが手に入った場合はかなりかさばるか。


そう考えるとアクセサリー系の装備は結構嬉しいのかもな。

千鶴も嬉しそうな顔をしている。


「それでもう一つがこれ、指輪だな」

「指輪…か」


千鶴に耐水の指輪を見せた瞬間、何故か真剣な表情をしながら凝視しだした。

もしかして珍しいものなのかこれ?


「千鶴?どうした?」

「ん?あぁすまない、なんでもない」

「じゃあはい」

「…」


指輪を渡そうとしたのだが、俺が差し出しても千鶴は動く様子がない。


「なぁ慧、よければ付けてくれないか?」

「ん?指輪を?」

「あぁ」


何かを考えていた様子の千鶴がそう言ってきた。

しかし指輪を付けるか…かなり恥ずかしいな。


でも凄い期待の籠った目で見てくるので、ここは裏切らないように期待に答えることにしよう。


「分かった」

「じゃあその…頼む」


そう言いながら千鶴が差し出してきたのは左手だった。

しかも心なしか薬指を強調してるようにも見える。


おいおい千鶴さん、俺がそこに付けたら違う意味合いになるじゃないか。

別に嫌なわけじゃないぞ?


むしろ千鶴のようなお嫁さんが出来たら俺は嬉しすぎて叫んでしまうかもしれない。

そう言うのはもっと段階を踏むべきだと思う。

そもそも俺と千鶴は付き合ってる訳じゃないし…。


千鶴と付き合う…か。

俺たちは結構長い付き合いだけど、一度もそういう関係になったことはない。

俺の勘違いじゃなければ普段の行いから千鶴が俺を意識してるのは伝わってくる。


でも俺はまだその気持ちに答えることができない。

何故なら俺は凄く優柔不断な人間だからだ。


すまん千鶴。


「あっ…」


心の中で千鶴に謝罪しながら中指に指輪を嵌めた。

その瞬間千鶴は少し残念そうな顔をしたのが少し心に刺さる。


「ど、どうだ?」

「あぁ…ふふっ、悪くないな」


だがその残念そうな顔も一瞬で今は指輪を笑顔で眺めている。

気に入ってくれたなら良かった。


「この指輪は慧も付けるのか?」

「うん?そうだなぁ、水属性の敵が出てくるダンジョンでは付けるかな?」

「そうか」

「あと、前に聞いたスライムナイフだな」

「それは私も少し気になっていたんだ」


指輪を渡した後、スライムナイフを取り出して千鶴に渡してみた。


「これがスライムナイフか、綺麗な刀身だな」

「そうだよな~、普通あり得ない刀身だからな」


まず青色の刀身なのあり得ないので、このナイフはかなり非現実的な見た目をしている。


「この刀身自体がスライムなんだよな?」

「あぁ、その状態で振ると鞭みたいになるぞ。ただ耐久力がスライムだから壁に当たった瞬間べちゃってなるけど」

「な、なるほど…使いどころが難しいな…」

「ただ少し気になるところがあって」


俺がパイライトスライムと戦ったときの事を思い出した。

あのスライムは、スライムらしい動きをしながらかなり硬かった。


だからもしかしたらパイライトスライムみたいに硬いスライムもいるんじゃないかと思う。

そんなスライムを刀身にすることが出来ればかなり強い武器になるのではないかと思っていた。


「って感じで、スライムによっては可能性があると思うんだ」

「ふむ、確かにスライムはかなり種類が多いから刀身に合うスライムもいるかもしれないな」

「そうだよな?」

「私も少し探ってみよう。このアイテムにはちょっと可能性を感じる」


やっぱり千鶴もそう思うのか。

これは本腰入れて調べてみる必要がありそうだ。


「これでスライムダンジョンで手に入れたアイテムは全部なんだけど、ちょっと相談があるんだよね」

「そうなのか?」

「うん、ちょっとこっち来てくれる?」

「うん?なにがあるんだ?っ、これは…」


千鶴にアイテムがしまってある引き出しの近くに来てもらった。

引き出しの中を覗くと千鶴はかなり驚いたような顔をしている。


「実は、スライムダンジョンだけでこれくらいアイテムが手に入ったんだよ」

「これは…凄いな…」

「で、今後ダンジョンに潜ることを考えると処分の仕方を考える必要があって、何かいい案ない?」

「そうだな、これだけのアイテムを捌くとなると…」


俺がそう切り出すと、千鶴は少し悩んだ後に話し出した。


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