第40話 スライムダンジョン踏破
結論から言うと、ジャイアントスライムとの戦闘は一瞬で終わった。
「えぇ…弱いな…」
いや、比べる相手が悪かったかな?
俺はこいつと戦う前にパイライトスライムと戦っていたので、気持ち的にはもう一度パイライトスライムと戦う感じで挑んでいた。
だがこいつはあの希少種とは違い全てが普通のスライムだった。
少し体が大きい特徴があるけど、それ以外は普通のスライムだ。
つまり俺が刀で攻撃しただけで消滅した。
「一応、戦闘能力Dだったよなこいつ?それにしては弱かったような…」
その部分がDランクだったんだろう、やはり体の大きさだろうか?
確かにあの大きさのスライムの突進が直撃すればかなり衝撃が来そうだなとは思う。
そういえば、刀で切った時もあまり重さを感じなかったな。
ジャイアントスライムって意外と軽かったのかな?
《回答・・・パイライトスライムから獲得した成長因子によりマスターの身体能力が上昇しています》
あー、なるほどそう言うことか。
パイライトスライムを倒したことで普通とは比にならないほど成長因子を獲得してレーラがアップデートした。
俺は成長因子を全て均等に割り振っているので、当然身体能力も上がることになる。
ただ今まで獲得していた量よりかなり多くの成長因子を獲得したので、身体能力もそれに応じて上がったことになるのか。
「じゃあパイライトスライムと戦わなければもう少し苦戦してたかもな」
これからも希少種と戦っていけばかなり早い速度で成長出来るかもしれない。
「でもスライムの希少種でさえめっちゃ強かったからなぁ~」
あ、でもFランクダンジョンの希少種が全部同じくらいの強さなら次はもうちょっと楽に戦えるかな?
しばらくはFランクダンジョンを回る予定だったし、その辺も検証していくか。
「こいつのドロップ品回収して帰りますか」
ジャイアントスライムを倒した場所には魔石と小瓶が転がっていた。
鑑定でドロップ品は魔石(小)とスライム粘液と書かれてたけど、この小瓶がスライム粘液かな?
「なんか青いドロっとした液体が入ってるな、これ何に使うんだ?」
《鑑定・・・宝物名:スライム粘液
促進箇所:体
ランク:D
使用用途:老化を予防します。
入手方法:特定モンスターのドロップ》
なるほど?美容品になるのかな。
ダンジョン産の美容品はめちゃくちゃ需要が高いから、これも高く売れるかもしれないな。
「さて、帰りますか!」
ダンジョンの最下層には帰還用の転移装置がある。
スライムダンジョンは10層で終わりなので、この部屋に転移装置があるはずだ。
マップを見るとこの空間の奥に見たことないマークがあるので、おそらくそこに帰還装置があると思う。
「ここか?」
マークがついている場所に来てみると壁にドアノブがついていた。
いや、なんで壁にドアノブが?と思わなくもないけど、とりあえず開けてみる。
「ほ~、これが帰還装置か」
ドアノブを捻ってみると壁が扉のように開いた。
その中に入ると7本の柱が円形に配置された部屋が現れた。
地面には何か模様のようなものが書かれている。
確かこの模様の中央に乗ればいいんだよな?
「よっと、これでいいのかな?」
俺が模様の中心に立つと地面が輝きだした。
どんどん眩しくなっていくので思わず目を覆ってしまう。
「眩しっ!」
そのまま数秒過ぎてから光が収まった。
これで転移したって事なのか?
俺は恐る恐るその文様から出てみて、ドアノブがついている壁に近づく。
そして扉を開けてみるとそこは0階層だった。
「おぉ!本当に一瞬で移動してる!!」
凄い、これにはかなりテンションが上がる。
この転移装置が色んな所に設置されてればもっと探索が楽なのにな~。
でも最下層以外に転移装置があったって話しは聞いたことがない。
「まぁ俺が知らないだけでもしかしたらあるかも知れないけど」
どのサイトを見ても希少種というモンスターの記事はなかった。
だからそれと同じようにもしかしたら転移装置もあるのかもしれない。
今後ランクの高いダンジョンを探索するときはその辺を調べてみるのも良いかもしれないな。
「とりあえず、魔石を売りに行くか」
もうボスを倒したのでスライムダンジョンの目標は達成したことになる。
魔石を売った後は次のダンジョンについて検討しよう。
俺はそのままダンジョンを出て買い取りカウンターに向かった。
「買い取りお願いします」
「かしこまりました、それではこちらに魔石をお願いします」
昨日みたいにボウルを渡されたのでそこに魔石を入れていく。
結局どのくらいスライムを倒したのか分からないけど、大体80体~100体くらいは倒したんじゃないだろうか?
俺は普通のスライムの魔石とジャイアントスライムの魔石、そしてパイライトスライムの魔石をボウルの中に入れて職員に返した。
「これでお願いします」
「はい、ありがとう…ございま…す…?」
ボウルを受け取った職員が、中を見ながら首を傾げている。
まぁそうだよな、そうなるよな~。
「あ、あの…この魔石は…?」
そう言いながら職員が指さしたのはパイライトスライムから取れた魔石だ。
こうしてみると他の魔石に比べて明らかに大きさが違うのでめちゃくちゃ目立つ。
「それは9層で金色のスライムに出会ったんですけど、そいつを倒したときにドロップしました」
「金色のスライム…?そんなモンスターは出ないはずなんですけど…」
「あぁ、そのスライムから魔石以外にもこれがドロップしたんですよ」
「これは、黄鉄鉱ですか?」
「うん?パイライト鉱石って名前ですね」
「やっぱり黄鉄鉱ですね」
パイライトは黄鉄鉱って言うのか?
ちょっと後で調べてみよう。
「黄鉄鉱がドロップしたということは、黄鉄鉱のスライムが居たのですか?」
「まぁこの鉱石と色は同じでしたね」
「そうですか…詳しい話しをお聞きしたいので奥へお越しいただいてもよろしいでしょうか?」
まぁそうなる予感はしていた。
探索者は新種のモンスターや新しいルートを見つけた場合、MDD職員へ報告する義務がある。
「分かりました」
「ありがとうございます、それではこちらへどうぞ」
俺はため息を飲み込みつつ職員の後について行った。
面倒なことにならないといいな~。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます