第31話 初めてのダンジョン探索3
「お、今回はネックレスか」
他の隠し部屋を回った結果、ポーションを二つ手に入れることが出来た。
どちらもFランクの回復ポーションだったが、あって困らないものなので結構嬉しい。
そして最後の隠し部屋へ来たんだけど、今回は最初と同じ耐水のネックレスが出た。
俺はもう持ってるので使わないかもしれないが、予備に持っておくのも良いし、千鶴が似たようなアイテムを持っていないならあげても良い。
まぁ初心者用ダンジョンで手に入るアイテムだし、千鶴は持ってそうだな。
とりあえず、今度聞いてみよう。
「さてと、これで1層にある隠し部屋は全部回ったかな?」
俺はマップを見ながら漏れがないか確認しているのだが、どうやらなさそうだ。
「よし、じゃあ次の階層に向かいますか!」
隠し部屋を周りながらこのマップを見ていて新しく気が付いたことがある。
それは次の階層に進むための階段もマップ上に表記されていたことだ。
マップを隅々まで見ていた時に、見覚えのない渦巻みたいなマークがあったので、何があるのか見に行ってみた。
そしたら、そのマークの位置に階段があったんだよなぁ。
つくづくこのマップのスキルは反則だと思った。
ただでさえモンスターの位置や隠し部屋の位置が分かるのに、さらに階段の位置まで分かるのは本当にアドバンテージが大きい。
他の探索者が丁寧にマッピングをしながら進まなければいけないのに対して、俺はその労力を使わずにストレスフリーでダンジョンを探索することが出来る。
いやぁ、ありがとうレーラ。助かってるよ。
《・・・》
「よし、それじゃあ階段を降りてみますか」
確かダンジョンは階層ごとにモンスターが少し変わると言う話しを聞いたことがある。
大まかな構成は変わらないが、今までより強い攻撃をしてきたり、予想外の行動をしてくるモンスターが増えるという。
もしかしたらスライムも別のバリエーションが出てくるのかな?
正直1層のスライムは本当に作業でしかなかったので、もう少し強いスライムが出てくるといいなぁ...。
「贅沢は言わないから、ゴブリンくらいの強さで出てきてくれないかなぁ」
そんなことをつい口から漏らしたところで2層へ到達した。
「2層はどんな感じかなっと...おぉ、一回りくらい大きくなってるかな?」
ダンジョンマップを確認してみると、1層と比べて大きくなっているように感じる。
それに赤点の数も多い。これはスライムが1層より多いことを示している。
「銀点もあるな、まぁまずはスライム君から行ってみますか!」
俺は新たなスライムを求めてダンジョンを歩き出す。
マップを見ると比較的近い位置に赤点があるので、とりあえずそちらの方へ向かう。
「お、あれが2層のスライムか」
赤点の近くまで来ると、早速スライムを発見することが出来た。
「う~ん、あんまり見た目は変わらないか?」
2層のスライムを遠目で見た感じ、1層のスライムと違いが分からなかった。
大きさも一緒だし、色も一緒だ。
《鑑定・・・種族:幻獣
個体名:アーリースライム
戦闘能力:G
思考能力:G
所持スキル:なし
ドロップアイテム:魔石(極小)》
なるほど?アーリースライムって名前なのか。
アーリーって言うくらいだから早いのかな?でもそれならクイックとかでも良い気がするけど。
鑑定の結果を見ながらスライムを見ていたら、ズルズルと近づいてきた。
ただ、う~ん......確かに1層のスライムと比べると少しだけ早いかもしれない。
「もしかしてまた作業が始まるのか?おぉ?」
この後スライムを倒すことを考えて少し遠い目になってしまったのだが、このアーリースライムはある程度の距離まで近づいたところでなんと飛びついてきた。
「よいしょっと」
飛びついてきたと言っても、その動きは遅いので対処は簡単だったのだが...。
まぁ1層のスライムに比べれば刺激があるし、あれほど作業感はなさそうに思う。
しかも飛びついてきたけど、仮に迎撃し損ねたり、避け損ねたりしても多少衝撃があるだけで怪我はしないだろう。
あーでもスライムもそこそこ重量があるし、鎧をつけてない状態で鳩尾とかに直撃したら少し息が出来なくなるかもしれないな。
うん、やっぱりどんなダンジョンでも装備はちゃんとしておくべきだな。
「さて、スライムも確認できたし隠し部屋へ向かいますか~」
・
・
・
その後、色々と隠し部屋を周りながら探索を進め5階層まで降りてきた。
ここまでノンストップで降りてきたので、少し疲れを感じている。
「今何時だ?ってこんな時間経ってるのか...」
スマホを取り出して時刻を確認してみると、12時になっていた。
大体5時間くらいずっと探索していたことになる。
そりゃ疲れを感じるしお腹も空くわけだ。
「一回休憩するか~」
俺はマップを確認しながら周囲に何もない場所で休憩することにした。
「お腹空いたし、買ってきた探索者用の携帯食料でも食べるか、ってあれ?結構バックがいっぱいだな」
俺は持ってきたバックから携帯食料を取り出して食べようとしたのだが、今まで倒したスライムの魔石や隠し部屋から手に入れたアイテムなどでかなりバックがいっぱいになっていた。
「この感じだと、多分この5層を探索したらマジで入らなくなりそうだな~」
バックの容量を確認しながらマップの方へ目を向けるが、この5層にも隠し部屋が3つ程あるので、それと帰りの事を考えればもうバックはパンパンになるだろう。
「まぁまだ初日だしな、今日は5層までにして切り上げるか」
そう決めた俺は携帯食料を食べながらどんなルートで5層を回るか考え始めた。
ちなみに携帯食料はあまり美味しくなかった、次からは別の食べ物を持ってこよう...。
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