第29話 初めてのダンジョン探索1

表示されたダンジョンマップを見てみると、結構近くに赤点がある。

とりあえず噂のスライムに会ってみたかったので、そちらへ向かうことにする。


「しかし、洞窟型のダンジョンだからゴブリンダンジョンと内装がそんなに変わらないな」


ダンジョンには色々なタイプがあるけど、その中でも洞窟型のダンジョンは見た目が一緒なことが多いらしい。


森林型のダンジョンは木の生え方とかが結構違うらしい。

いつかは洞窟型以外のダンジョンにも行ってみたいものだ。


そういえば猫の園も確か森林型ダンジョンだったかな?

聞いた話だと森と草原で構成されているらしい。


そんなことを考えながら赤点に向かって歩いていると、少し先に青色の物体が見えてきた。


「お、あれがスライムかな?」


青い物体に近づいて行くと、やはりスライムだった。

こいつは危険度が皆無だから結構写真が出回っている。


俺もスライムの写真をネットで見たことあるけど、写真で見たものと全く一緒だ。


スライムはダンジョンの通路に佇んで?いてプルプルと震えている。

なんかちょっと可愛いかも。


ネットでもスライムのことを可愛いと言っている人がちらほらいるが少し気持ちが分かったかもしれない。


《鑑定・・・種族:幻獣

      個体名:ブルースライム

      戦闘能力:G

      思考能力:G

      所持スキル:なし

      ドロップアイテム:魔石(極小)》


しばらくスライムを観察していたらレーラの鑑定が発動した。

ふ~ん?スライムって幻獣の枠になるのか。

幻獣って聞くと凄いモンスターってイメージが強いけど、実は高ランクダンジョンだとスライムも強くなったりするのかな?


そしてドロップ品に関してもやはり極小の魔石のみだった。

もしかしたら他のドロップがあるかも知れないと少し期待してたけど、やっぱり魔石だけなんだなぁ...。


まぁスライムは全世界の低ランクダンジョンで出現するので、もし魔石以外のドロップ品があったら既にドロップして情報が出回ってるか。


「お?」


スライムについて考察していると、やっとこちらに気が付いたのか近づいてきた。

ただ這うように移動しており、その移動速度も滅茶苦茶遅い。


今日ダンジョンへ来たのもモンスターを倒すことがメインの目的だしとりあえず戦ってみるか?


俺は刀を抜いてスライムが近くに寄るまで待つ。

しかし本当に遅いな~、スライムダンジョンは危険度が皆無だって聞いてたけどその理由が少し分かった気がする。


少し待っているとスライムが刀の範囲内に入ったので、とりあえず刺してみる。


「よいしょっと、え?」


刀でスライムを刺したんだけど...刺した瞬間に水風船が弾けるような感じで消滅した。

ま、マジか...。弱いとは聞いてたけどここまでなのかスライム君...。


え、本当にちょっと刺しただけだぞ?

あんなに移動速度が遅くて、ちょっと傷つけただけで倒せちゃうってどうなんだろう?


《成長因子を獲得》


ま、まぁどうやら成長因子はちゃんと獲得できてるらしいから良しとするか...。

若干戸惑いの気持ちはあったが、スライムが残していった魔石を拾いダンジョンを進むことにする。


そうだなぁ~、次は隠し部屋の方に行ってみるか。

マップを見ると、隠し部屋を表す銀点はちょっと遠い位置にある。


でも幸い今日は早く家を出たので時間には余裕があった。

それに隠し部屋へ向かう道に赤点が点在しているので、スライムを倒しながら進みますか。



「この辺かな?」


俺はスライムを倒しながら隠し部屋を目指して進んでいた。

スライムとの戦闘は全て非常に悲しいものだった。


もう後半の方は作業みたいな感じになってたし。

スライムを見つける、近づく、刀でつつく、消滅する、魔石を拾う...このループだった。


最初は楽しかったんだけど、後半はほとんど虚無だった。


でも隠し部屋へ到着したので、その気持ちともおさらばだ。

早速銀点が示している壁を調べてみることにする。


一番最悪なのは、ゴブリンダンジョンの隠し部屋みたいに何も仕掛けが存在せず力で解決する場合の隠し部屋だ。

俺にはまだ壁を破壊するほどの力は無いので、あのタイプの隠し部屋だった場合開ける事が出来ない。


「仕掛けがあるタイプだといいけど...お、これかな?」


銀点が示している壁を調べてみると、一部分だけ色の違う場所があった。

俺はそこに手を当ててみると、滅茶苦茶もろいのかボロボロと壁が崩れだした。


色の変わっている部分を全て崩すと、そこにはぽっかりと穴が空いていた。


「ここに何かはめ込むのか?でもこんな大きさのアイテムあったかな~?」


おそらく何かをはめ込むタイプだとは思うんだけど...こんな大きさのアイテムは見たことがない。

だけどその穴の大きさには不思議な既視感があった。


この大きさのものを見たことある気がする。

思い出せ、何処で見た?


「あっ、もしかして」


そしてふと思った、この穴の大きさ、スライムと一緒じゃね?と。

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